ソフトバンクホークス柳町達選手 交流戦から1軍昇格でヒットを量産 2カ月遅れの開幕「悔しさはすごくあった…」

福岡ソフトバンクホークスの柳町達選手(27)。プロ野球セ・パ交流戦から1軍昇格を果たした選手だ。開幕2軍スタートとなった悔しさをバネにヒットを量産中で、「『爪痕を残してやろう』という気持ち」と語る。

1軍合流 なくてはならない選手に

開幕から2カ月、2軍での試合(ウエスタン・リーグ)で結果を出し続け、満を持しての今シーズン初打席となったのは、5月28日の巨人戦だった。

「バッター有原に替わりまして柳町、背番号32」と場内アナウンスが流れるなか、7回の表、大歓声に迎えられ代打での初打席。柳町選手はフルカウントからの外角直球を左前へ運び、見事にヒットを放った。

今シーズン初打席への思いを「本当にやっと1軍に呼ばれたので、『何とか爪痕を残してやろう』っていう気持ちで打席に立ちました」と語る。
以来、柳町選手は打撃好調で、3割5分1厘の打率を残している(交流戦終了時)。守備でもファインプレーを披露し、右半腱様筋損傷のけがで離脱した柳田悠岐選手の穴を埋めている。今やホークスになくてはならない選手だ。

しかし、柳町選手はシーズン116試合に出場したものの、今シーズンは開幕2軍スタート。4、5月と2軍で結果を出し続けていたが、1軍昇格は、開幕から約2カ月も待たなければならなかった。さらに今シーズンは、育成から支配下登録された3人(緒方理貢選手、川村友斗選手、仲田慶介選手)が開幕1軍ベンチ入りスタートを果たした。

そのときの気持ちを柳町選手は、「悔しさはすごいあります。もう、言い表せないぐらいありましたけど、僕のこの悔しくて落ち込んでいる姿を見せるのは良くないなっていうのがあったので、悔しくても『もう本当にやることはしっかりやって』という気持ちではいましたね」と振り返る。

「絶対必要になる」響いた監督の言葉

小久保裕紀監督は、開幕直前に支配下登録された育成出身の3選手についての昇格理由を「レギュラー陣がある程度、固定できた戦いができそうだというスタートを切ったなかでは、残りは控え選手が必要」と語り、そして「別に頭からスタメンで行く選手はあまり必要なかった。だからそれは柳町にもちゃんと説明をした」と続けた。

小久保監督は「柳町はスタメンで使いたい選手」と名前を出していたのだ。ただ開幕後、スタメンがほぼ固定された状態だった1軍に柳町選手が入る“枠”はなかった。

開幕時、小久保監督に2軍を言い渡されたときに…と柳町選手は話し始めた。「監督から、まず『(2軍で)4割を目指してやってこい』という話があったので、まずその4割を目指してやっていたというのが一番のモチベーションにもなりましたし、いつ(1軍に)呼ばれてもいいようにという準備だけはしていたので、4割への気持ちで2軍では過ごしていました」と語った。

柳町選手は、ウエスタン・リーグ3、4月で打率は小久保監督から出された「2軍で打率4割」に迫る数字を残す。しかしスタメンの選手が好調で、5月に入っても1軍昇格とはならない。
5月10日、2軍に足を運んだ小久保監督は柳町選手に、まだ上げられるところがないこと。しかし今後、絶対に必要になってくる場面があるから、そこに合わせてしっかりやっておいてくれという話をしたという。

柳町選手はそのときのことを振り返る。「ちょっときつかったときに、ちょうど監督が来て下さって、本当にそのおかげでちょっと復調できたので、すごくありがたい時間だったなと思います」。

柳田選手の離脱「自分がカバーする」

そして1軍昇格後の好調さについて柳町選手は、「やはり、いまのところは速いストレートをしっかり捉えられているというところが一番、状態がいい点だと思っている。2軍で松山(2軍)監督と速いボールの打ち方、外角の真っすぐを(バットの)ヘッドを利かせてレフト前に打つような打ち方、そういう話し合いをしながら練習をやったりしてたので、それが生きているのかなと思います」と語った。

そして今後への決意を語る。「それこそ柳田さんがああいうかたちで離脱してしまったんですけど、けがの治療に専念してもらうために、やはり僕がしっかりカバーして、チームも優勝争いできる位置に入れるような活躍ができれば、柳田さんの代わりにはなれないと思うんですけど、代わりになれるような成績でしっかり今後、活躍していきたいなとは思ってます」

柳町達。これからが正念場だ。

(テレビ西日本)

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