6億円の保険金を狙った「替え玉殺人」か ホテルで男子大学生が殺害された事件 被告は完全黙秘 広島

廿日市市のホテルで、男子大学生を殺害した罪などで逮捕・起訴されている男の裁判。
検察が主張した犯行の動機は替え玉保険金殺人でした。

2021年11月、廿日市市のホテルで男子大学生が殺害された事件。
職業訓練生の南波大祐被告(33)は愛知県の大学生、安藤魁人さん(当時21)に睡眠導入剤を摂取させ、廿日市市のホテルで注射器を使ってアルコールを体内に注入し殺害した罪などに問われています。
安藤さんは意識障害を引き起こし、嘔吐物で窒息したとみられています。

18日に始まった裁判員裁判で南波被告は、起訴内容については「黙秘します」と答え、語らない姿勢を示しました。

検察側は冒頭陳述で宗教勧誘を通じて知り合った被害者と広島市内で会い、観光する中で飲食物に睡眠導入剤を混入したと指摘。そして、これまで謎につつまれていた動機について驚きの内容を明らかにしました。

検察の主張した南波被告の動機は、「替え玉保険金殺人」。
南波被告は自身に最大6億円以上の保険金をかけたうえで、安藤さんを殺害し安藤さんを南波被告自身だと見せかけて保険金を受け取ろうとしたと、検察は主張したのです。

裁判の中で検察は、南波被告がインターネットで「替え玉保険金殺人」「アルコール致死量体重」などと検索していたことなどを証拠として提出しました。
驚きの動機が明らかにされた今回の裁判。19日は被害者を搬送した救急隊員などの証人尋問が行われます。

<記者の目>(毛利記者)
驚きの展開を迎えた今回の裁判を改めて整理します。
取材した毛利記者によりますと検察の主張は…。
南波被告は自身に6億円以上の生命保険をかけ、受取人を実の弟としていました。その上で知り合いだった被害者・安藤さんを南波被告と見せかけて殺害。その後、弟になりすまして多額の保険金をだまし取ろうとした替え玉保険金殺人事件というのが検察の主張です。

また、事件前には名古屋市で被害者と会った南波被告がホテルにスズメバチの巣を持ち込んだと検察は主張しています。
「スズメバチ致死量」などのインターネットで検索した履歴も残っているということで、南波被告が別の方法でも被害者を殺害しようとしていた可能性も出てきました。

ようやく事件の謎が解明されつつある今回の裁判。
行方が注目されます。

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