新人消防士が27キロを踏破 災害想定した競歩訓練 クマ出没の影響で今年は沿岸へ〈宮城〉

宮城県内の各消防本部に今年4月に採用された消防職員が、移動手段が絶たれた状況を想定して救助現場まで歩いて向かう訓練を行い、往復27キロの道のりを1日かけて歩きました。

「ただいまから災害想定強歩訓練を行います!」

訓練は災害時などの長時間に渡る過酷な条件を想定して毎年行っているもので、今年4月に採用された消防職員101人が参加しました。去年までは仙台市宮城野区の県消防学校から泉ヶ岳までの道のりで夜間に行っていましたが、県内で相次ぐクマの目撃情報などを受け、今年は山間部を避けて日中に行いました。

訓練では、各自が5リットルの飲料水や消防活動を想定した機材などを持ち、県消防学校から若林区の震災遺構荒浜小学校までの往復およそ27キロを歩きます。

仙台市消防局 熊谷輝 消防士
「きょうの訓練を通して一歩でも一人前の消防士に近づけるように28期全員で協力してやり切りたいと思います」

昼過ぎ、折り返し地点となる震災遺構荒浜小学校では、施設のスタッフから震災当時の話を聞いたり展示物を見学したりして、参加者たちは救助活動への意識を新たにした様子でした。

仙台市消防局 勝田隼平 消防士
「被災した方々はとても不安でいろいろな感情があると思うので、そういったところにいち早く駆け付けて少しでも早く安心させられるような消防士になりたいと思います」

そして、復路の出発の際はー
「要救助者発見!」

参加者に抜き打ちで行われた訓練。要救助者に見立てた重さおよそ50キロの人形を担架に乗せて、およそ9キロ先まで運びました。

移動手段が絶たれた中での徒歩での訓練。新人職員たちは日頃の訓練の重要性を改めて認識した様子でした。

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