フアンマ劇的弾で無敗記録《17》に データから見える「負けないV・ファーレン長崎」

【V×V TuesDay】今回はV・ファーレン特集です。今シーズンの強さの秘密をデータから解き明かします。まずは劇的な結末となったアウェイ、仙台戦から振り返ります。

16日のアウェイ戦、V・ファーレンは仙台に乗り込みました。「借りを返す」ためです。リーグ戦ここまでわずか1敗、16試合負けなしのV・ファーレン。唯一負けた相手こそが、仙台でした。

リベンジマッチは前半15分エジガルのPKで幸先よく先制。しかし後半10分に追いつかれると1対1で迎えた後半アディショナルタイム。痛すぎる失点で仙台に勝ち越しを許します。

試合終了まで残された時間はあとわずか──しかし選手は誰ひとり諦めていませんでした。この試合のラストプレーでフアンマが執念の同点弾!
土壇場でのドロー決着に仙台の監督は悔しさあらわ。逆に、長崎サポーターは喜びを爆発させました。

下平隆宏監督:
「少しけが人も出ていますし、ただけがから直ってきている選手もいるので、総力戦になると思いますし、特に中村慶太に関しては後半戦のキーになる選手かなと思っていますので非常に期待しています」

劇的ゴールを呼び込んだアシストは今シーズン、左ひざのけがで出遅れていた中村慶太でした。ファンタジスタ中村慶太の復帰がJ1昇格への大きなアシストとなりそうです。

データから見える“負けないV・ファーレン”

リーグ戦は半分が終わり、V・ファーレンはJ1自動昇格圏内の2位につけています。なぜ好調を維持できているのか、去年と比較したデータから見えてくるのは《失点数》の改善です。

昨シーズンは42試合で56失点。1試合あたりの平均失点が《1.3》でしたが、今シーズンはここまで19試合で17失点、1試合平均は《0.9》です。

では、なぜ失点が減ったのか?その要因の一つに挙げられるのが「中盤でボールを奪えているから」です。

「JSTATS」というJリーグのまとめによりますと、中盤でのタックル奪取率が去年の《66.3%》から、今年は《72%》に増加しています。

ここからが興味深いポイントです。誰がボールを奪っているのか?

去年はMFの鍬先・カイオが中心でした。ところが今季、中盤で最もボールを奪っていたのはFWのエジガルでした。

FWの選手なのに守備でチーム1位なのか、ここにV・ファーレンの強さが表れています。

下平隆宏監督:
「守備のところは全員が献身的にやらないと当然守れないですし、チームとしてもそういうやり方でやっているので、それは誰が出ても要求しています」

下平監督が徹底させる守備の規律。FWのエジガルが最前線から率先してボールを追いかけ守備にポジションは関係ないことをチームに根付かせます。

エジガルだけではありません。マテウスはピンチを察知するやいなやダッシュでボールを追いかけます。相手の攻撃の芽を摘むボールハンターです。フアンマに至っては、FWながら自陣ペナルティエリアまで戻っての献身的な守備。最前線にいる選手たちを含めた守備意識の向上がチームに強さをもたらしています。

試合後の会見でも下平監督は「失点」について言及することが多く。チーム内で「守備」の意識が高まっています。リーグ戦は残り半分、次節の結果次第では首位に立つ可能性も見えてきました。

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