その名は『サンフラワープロジェクト』…人口増の日本一小さな村の“新旧・世代間”村民交流のために

日本一小さい村、富山県舟橋村。
一昨年、役場内のパワハラ問題に端を発し村長選まで行われる事態となり、村は混迷しました。
その舟橋村で、村民同士の交流を促すため、あるプロジェクトがスタートしました。
かぎは、「ひまわり」です。

日本一小さな村、舟橋村。
1400人ほどだった村の人口は、富山市に隣接しベッドタウンとして、この30年ほどでおよそ3300人と倍以上に増えました。
(6月1日時点)

県内の自治体ナンバーワンの人口密度。
宅地開発や子育て環境の整備などで実現した人口増加は、全国からも注目されています。

そんな村で、あるプロジェクトが…。

Q何をしているんですか?
*舟橋村職員
「村民の皆さんに配る『ひまわり』の種を準備している」

職員が準備していたのは、村民にまいてもらうひまわりの種。

「サンフラワープロジェクト」と名付けられた今年度の新規事業で、越中舟橋駅近くの休耕田を一面、ひまわり畑にし人気スポットにしようというもの。
秋田県で、以前から行われている同様の取り組みを参考にしたもので、種からとったひまわり油などを地域の特産にすることも目指します。

ただ、村の狙いはこれだけではありません。

*舟橋村職員
「舟橋村が抱える課題解決。村民の皆さんが集まる場所づくりができればいい」

新旧村民間のコミュニケーション促進。
村によりますと子育て世代を中心に人口は増えたものの、消防団や民生委員などの地域の組織には、新しいメンバーがなかなか入らず、将来的な存続に不安があるといいます。

一昨年、役場内のパワハラ問題に端を発し、村長選まで行われる事態となった舟橋村。
役場内の風通しを含め、幅広い世代間の価値観の違いをどうするのかが争点の一つとなりました。

今回のプロジェクトは、選挙で初当選した渡辺光村長肝いりの施策です。
村民が集まり、コミュニケーションを図るきっかけにしてほしいとLINEのオープンチャットで種まきイベントを告知してきました。

15日、種まき当日…。

*舟橋村 渡辺光村長
「みなさんご参加、ご参集していただきまして、ありがとうございます」

強い日差しが照り付ける中、想定の倍以上の70人余りが集まりました。

*舟橋村 渡辺光村長
「この夏、大輪の花を咲かせるであろうひまわりを楽しむために、そういった形で種を植えていただければ」
「きょう一日、頑張って参りましょう。よろしくお願いします」

花が等間隔で咲くように、村民は列になってペットボトルで土に穴を開け、ひまわりの種を2粒入れていきます。

*参加した村民は
「楽しい。こういうの初めてだから」
「景色がきれいなところで植えるのが気持ちいい」

*舟橋村 渡辺光村長
「若年層の人に偏りすぎるのも嫌だと思っていた。バランスよく小さな子どもから高齢の人まで参加いただけるのはありがたい。それを一番望んでいた」

しかし期待した世代が異なる村民同士の会話は…。

Qちょっとコミュニケーションがないですね
*舟橋村 渡辺光村長
「そうですね。何かもうちょっとペチャクチャ喋りながらやれないかなと思っていたんですけど。種植え作業にもう(夢中で)来年への課題ですね」

*参加した村民は
「いつもイベントは若い人が楽しくやっている感じだが、きょうはまた新しい人たちとこうやって一緒に同じ作業をするのは気持ち的に良い」

*舟橋村 渡辺光村長
「1回目で肩組んで仲良しとは到底ならなくても、『何回か見たことある』というのが、あるのとないのとでは(違う)話しかけるときのきっかけになると思うし、共通点・共感があれば話題も膨らむと思うので、その下地にはなったのかなと」

村は、7月に草刈り、10月には種の採取と、ひまわりの成長に伴い、今後も村民が集まる機会を作ることにしています。

サンフラワープロジェクト。
今年は、村民の交流促進に向け、まさに、「種をまく一年」となります。

ひまわりは、8月中旬が見ごろとなりそうということです。
舟橋村の新たなスポット、ひまわり畑を核に村民のつながりが深まるのか、注目です。

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