虫を使って“農業を効率化” 害虫は天敵の虫で駆除する『生物農薬』が主力の企業 熊本へ進出

虫の力で農業の効率化を目指す企業が熊本に進出しました。害虫の天敵「生物農薬」の製造拠点を取材しました。

嫌われ者のダニが野菜を守る

今月、茨城県に本社を構える企業「アグリセクト」が熊本県甲佐町に生産拠点を作りました。

主力商品の一つが「生物農薬」。農作物に被害をもたらす害虫を、その天敵の虫で駆除しようというものです。

アグリセクト 秋山正美 九州事務所長「対象作物に振っていただくようなものです」

嫌われ者のダニですが、生物農薬としては害虫を食べてナスやピーマンを守ってくれます。

秋山所長「事前に待ち伏せ型で農作物に定着させて、害虫が発生したら食べるという特徴の物もあれば、増えたところに速攻的に効くようなものをいくつか組み合わせしていく」

アグリセクトは、農業が盛んな九州で需要が見込めると、熊本への進出を決めました。

秋山所長「九州の真ん中の熊本県に生産の基地を持って、より新鮮な状態の品質のいいものを良いタイミングで生産者に使っていただく」

そして『生物農薬』以外にも、虫を使った商品があります。

「4人で半日かける作業」をハチが負担

熊本県山都町でミニトマトを栽培している谷川さん。年間約30トンを収穫しています。

ここで使われている虫が…

キングラン南国農園熊本 谷川健太郎社長「『マルハナバチ』と言いまして、トマトの受粉を手伝ってくれる虫、ハチですね」

マルハナバチがトマトの花からミツを集める時、トマトの受粉を手伝ってくれるのです。

アグリセクトは、このマルハナバチを生産・販売しています。

導入する前の受粉は手作業。花に特別な薬品を振りかけていました。

谷川社長「4人で半日かけてやるので、その分をハチにやってもらうと我々が別の作業に専念できる」

体長は約1.8センチで人を刺すことはほとんどないというマルハナバチ。純国産のため、仮にハウスなどから逃げ出しても、生態系に与える影響が少ないと言われています。

――まさにパートナー?
谷川社長「パートナーですね、彼らがいないとやはりいいトマトができない」

今後、アグリセクトは九州発の新たな商品の開発を進める予定です。

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