「毎晩、咳止めを40錠」「生きるために飲んだ」オーバードーズ経験者が当時を振り返る 虐待受けた過去も

テレビ愛知

医薬品の過剰摂取、いわゆるオーバードーズが問題となっています。番組は、オーバードーズの経験者に話を聞きました。

インタビューに答えてくれたのは、30代の女性・Aさんです。今は病院でオーバードーズをやめるための治療を受けています。10年ほど前からオーバードーズを続けていたというAさん、きっかけはー。

Aさん:
「過去の家庭環境が辛かったり、今の現実を忘れたいと強く思った時にしんどくて、現実を忘れたいという気持ちでするようになりました。助けてくれる人がいたらハマってなかったかもしれないです」

Aさんは母親から虐待を受け続けた経験があります。辛い気持ちになった時は、咳止めなどの市販薬を毎晩40錠飲んでいた時期もあったといいます。オーバードーズによる症状とは。

Aさん:
「うまく効いてくれれば、多幸感。全部忘れてフワフワしてられる感じ。バッドトリップもあって、逆に気分が落ち込んでしまったり、身体症状で悪い症状が出る。身体中が熱くなったり、意識を失ったり、心臓が苦しくなったり。そういう時は怖いなと思いました」

ある日の夜。咳止め薬、40錠を飲んだ約12時間後・・・。

Aさん:
「コンビニで会計待ちのレジを待っていた。急に周りが大丈夫ですか? みたいになっていて。意識失って倒れちゃって。そのあと数分間、けいれん発作を起して頭をぶつけて救急搬送された」

Aさんは今も、オーバードーズの依存症と戦っています。

Aさん:
「何カ月か前はやめていたが、ちょっと前からまた若干飲んでしまった。オーバードーズしている子たちは、私もなんですが、死ぬためじゃなくて生きるために飲んでいると思うんです。だけど、いつでも死と隣り合わせ。生きるために飲んでいても、いつ死んじゃうかわからないから怖いと思います」

オーバードーズはイタチごっこ 専門家「たくさん薬局があるので、いくらでも買えてしまう」

なぜ若者がオーバードーズに陥ってしまうのか。長年、医療機関でオーバードーズ経験者のケアにあたってきた、精神保健福祉士で杏林大学・加藤雅江教授は次のように指摘します。

杏林大学 加藤雅江教授:
「薬局で買いやすくなっていたり、ネットでも薬が手に入りやすくなっている状況が、誰にとってもオーバードーズがしやすくなっている環境。気安く薬を手に取れる。情報が手に入りやすくなっていることも影響が大きいと思う。SNSの中では『使ってよかった』とか、割と良い情報だけが共有されつつある」

薬局では市販薬のかぜ薬などを大量購入しようとする客に、「利用する人物」と「用途」などを確認することがあります。しかし、店がどんなに対策をしても限界があると言います。

杏林大学 加藤雅江教授:
「別な方法を子どもたちや若い人は考えてしまう。たくさんドラッグストアがあるので、1周すればいくらでも買えてしまう現状はある。規制してもイタチごっこになる部分はある。薬に手を出すのは子ども、若者たちのサインだと思う。(周りの人は)叱って薬を取り上げるのではなく、なぜそうなったのか、気持ちを吐き出せるように向き合ってもらいたい」

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