ピン G730 アイアンを西川みさとが試打「もはや飛び系と言えない飛び系」

ポケキャビに変わったズルい飛び系 HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

ピン史上最も飛んで最もやさしいアイアンとして登場した「G730 アイアン」。前作「G710 アイアン」は“飛び系なのにズルいアイアン”として、高弾道でぶっ飛ぶ性能が多くのアマチュアゴルファーに支持された。中空構造だった前作からポケットキャビティに変わって打感が向上したと評判だが、果たしてそのフィーリングは!? ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「以前の飛び系イメージとは違う フツーの感覚で打てるアイアン」

高さで止めるイメージが湧いた模様(打ち出し角:平均19.8度)

―率直な印象は?
「ヘッドサイズは大きめ、少しグースが入っている形状で安心感があり、とても構えやすいです。今作が“飛び系アイアン”で、同時期発売『i530 アイアン』が“飛び系ツアーアイアン”と棲み分けられていると聞きましたが、実際に打ってみてその違いが理解できました。どちらも“飛び系”と付けられていますが、今作はよりやさしさを実感できる仕上がりとなっています」

キャッチコピー『高弾道でビッグキャリー』通りの結果に

―やさしい飛び系ということ?
「やさしさは確かにサイズの大きい今作のほうが上ですが、とにかく前に飛ぶような飛距離に特化したタイプではありません。というのも、ロフト角の違い(7Iで26.5度、「i530」は27.5度)もほんのわずかで、試打中では全く気付かないほど同じに見えました。スピン量は若干少なく感じましたが(平均3968rpm)、以前の飛び系イメージからはほど遠い。しっかり高さでグリーンに止められるアイアンです。その中でも『i530』より構えたときの安心感があり、顔立ちからボールを上げてくれるイメージが持てたので、私は今作のほうが扱いやすかったです」

やさしいけれどボッテリすぎない顔立ち

―前作「G710」と比べると?
「『G710』も同じグースの付き具合で、顔の系統は同じです。が、ブラックカラーがより好印象でしたね。黒だとより締まって見えるという効果があると思いきや、逆に存在感が大きくなって安心感が抱ける。黒ヘッドの何とも言えない安心感が、意外なほど構えやすく感じます。どちらも同じ形状に見えますし、弾道も大きな違いはなかったので、あとはシンプルに構えやすい色で選ぶべきではないでしょうか。私は黒ヘッドのファンなりました(笑)

左がG730、右がG710。中空→キャビティ構造に

―飛び系アイアンの定義が変わった?
「確かに最新モデルの多くは、飛び系と呼べる飛距離性能を持ち合わせていますからね。しかも、飛び系なのに高さがちゃんと出る。飛び系と呼ばれるモデルが出だした頃、低弾道でとにかくランが出るモデルが主流でしたが、最近は飛びながらも、ちゃんと高さが出るので、もうそれはフツーの感覚(ロフトが以前の一般的な設定のまま)でもいいのかなと思える性能。フツーに距離を計算できるアイアンです」

打点がズレてもフェース全体がたわむVFT設計

―打感のフィーリングでの変化は?
「以前までの飛び系の打感は、もっと弾きが強く、カチン!と飛んでいってしまう弾道が多かったですが、そういう感じは全くありません。軟鉄鍛造のようなやわらかい打感ではないですが、ちゃんとスピンが入ってボールが止まってくれます。多くの最新アイアンが飛び系の要素を踏まえるようになってきていますが、もはやアイアンに対するフツーの概念が変わってきているといえるのではないでしょうか」

「“飛び系”の定義を考え直すべきかな」(西川)

―どのような人向き?
「同社のモデルとして、ドライバーとそろえる人が前提だと思います。ですが、実際に打ってみてスイングに合う合わないは、ちゃんと確かめるべきです。それこそ前回お話ししたバウンス角の話もあるので、入射角の傾向が不明な人は実際に試打してみるべきです。もちろんパワーがあって振り切れる人は『NSプロ 950GH neo』『NSプロ モーダス3 ツアー105』。非力な人でも『NSプロ 850GH neo』や新商品の『NSプロ 750GH neo』がラインアップされているので(カーボンは『ALTA J CB BLACK』『PING TOUR 2.0 CHROME I』)、シャフトを調整すればどんなタイプにもフィットすると思います」

飛距離4.5を含め 全てが4以上の好感触【総合評価4.1点】

【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:26.5度(7I)
・使用シャフト:NSプロ 850GH neo(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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