地震で排水路壊れる 大雨に募る不安 高岡市吉久地区

梅雨の時期を迎えると、大雨のおそれが高まります。能登半島地震による液状化の被害が大きい高岡市吉久地区では、側溝や排水路が寸断したり、隆起したりして、水害の危険性が増しており、住民たちは不安を抱えています。

こちらは4月9日、高岡市吉久地区にまとまった雨が降った時の農業用水路です。雨水がたまってしまいました。

撮影した津野さんに自宅近くの現場を案内してもらいました。

津野誠治さん

「ここが農地になっていて、ここに側溝があるんですけど向こう(下流)側が地震で高くなり、こっち(上流)が低くなっている。ここから水が漏れ出して、ここの畑に流れ込んでいくと」

さらにその先をみると。

津野誠治さん

「ここに暗きょがあるんですけど、この奥に行くと、ここにまったく水が流れていなかった」

暗きょを境に、用水路は上流は満水、下流は空になっていました。津野さんの自宅の敷地は2023年7月の大雨で水に浸かりました。

津野誠治さん

「この地震で(自宅の)地盤が沈下した状態で、同じようなことになると果たしてどのようなレベルになるのかなと非常に心配」

暗きょ部分をのぞくと、用水路の底が地震で壊れ、コンクリート片が折り重なっていました。

この土地を所有している西谷さんにも損傷箇所を見てもらいました。

吉久第一町自治会 西谷弘之会長

「こことここがつらだった」

さらに下流には。

吉久第一町自治会 西谷弘之会長

「こっちの建物が40センチほど下がっている。本当言うと、用水路はこのくらい開いていた」

用水路は、建設会社の建物の下を横切り、再び外へ。建物と共に沈下した用水路は、画面右側の下流へとつながる部分が寸断され、しかも下流の方が高くなっています。ここは、別のルートからも雨水が流れ込みます。

庄川と小矢部川にはさまれた吉久地区。明治末期まで、2つの川は河口付近で合流していて、水害が起きていました。洪水防止などを理由に、明治から大正にかけて分離工事が行われました。標高は庄川のほうが高く、雨水は、3つの雨水幹線で小矢部川へ流しています。

さきほどの地点には、庄川寄りの住宅地の雨水も流れ込みます。最終的には、雨水幹線へ流れるはずですが。

雨水幹線のひとつは、液状化被害が最も深刻な区域を通っています。隆起して雨水を一部流せなくなりました。

大雨対策として市が設けたのが、仮水路です。

高岡市上下水道局 水道工務課 上蓑憲男主幹

「吉久地区の大半の雨水はこちらの雨水幹線を通って小矢部川に流れている。浮上したことによって、約2割機能がないかなと思われるので、こちらの仮排水路で2割カバーした格好になっている」

市は、排水機能を高めるため、周辺の側溝を清掃し、液状化で噴出した土砂などを取り除きました。

また、沈下した住宅のそばには、パイプを設置しました。

高岡市上下水道局 水道工務課 上蓑憲男主幹

「こちらの方に水を吸っていくパイプを入れてある。ある程度の水はこちらでカバーして、宅地内には入らないという形を取っている」

それでも、周辺住民の不安は尽きません。

串岡弘昭さん

「昨年の一番ひどい雨が降った時は、この大きな水路がいっぱいになってしまう。(仮水路が)あの程度ではあふれてしまう可能性がある」

さらに、側溝などにある亀裂は、地震後の今も広がっています。

串岡弘昭さん

「すき間が開いているので(浸水して)地盤をどんどん弱くすると思う。(ロードマップの)3年なんて待っていられる状況ではないですよ。それはあまりにも長すぎる」

液状化で側溝などが寸断され、大雨による浸水が心配なのは、高岡市伏木地区も同じです。吉久地区は、雨水と下水道の配管が別ですが、伏木地区は影響を受ける構造のため、大雨によりトイレなどが流れにくくなるおそれもあるということです。

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