【ミャンマー】タイ国境貿易、紛争でゲートの明暗分かれる[経済]

ミャンマーの対タイ国境貿易が、紛争の影響でゲート別の明暗が分かれている。主要玄関口の東部カイン(カレン)州ミャワディ経由が大きく落ち込む一方、南部タニンダーリ地域の3ゲート(コータウン、モータウン、メルギー)を通じた取引が増加。紛争地帯を避けた迂回(うかい)路の開拓が影響している可能性がある。

商業省の発表によると、2024年4月1日~6月7日の対タイ国境貿易は輸出額が前年同期比18%減の4億5,776万米ドル(約723億円)、輸入額が78%減の9,221万米ドルだった。タイ北西部ターク県メソトに接するミャワディ経由の輸出入が8割前後落ち込んだことが響いた。

一方、タニンダーリ地域に位置するゲート別の輸出額は◇コータウン経由=9.9倍の2,900万米ドル◇モータウン経由=4.7倍の775万米ドル◇メルギー経由=2.3倍の1,510万米ドル——と大きく伸びた。パイプラインによる天然ガス輸出が計上されるティーキー経由は2割減ったが、輸出が3億4,710万米ドルと対タイのゲート別輸出で最大だった。

17日付国営紙グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマーによると、「貿易ルートが整備された」(モータウンの貿易事業者)ことが貿易量の拡大につながった。ミャワディ近隣では国軍と抵抗勢力との戦闘が続き、軍事政権は海路と陸路を組み合わせた代替ルートの整備を進めていた。

国営紙によると、ミャンマーは水産品やトウガラシ、バナナ、タマネギなどの農産品をタイに輸出。同国からは果物や食品、消費財などを輸入している。

タイ政府は現在、モータウンに面する同国南部プラチュアプキリカン県シンコンを常設の国境検問所に格上げすることを検討している。ミャンマーが約10年前からモータウンを常設の国境検問所として開放している一方で、タイにとってシンコンは臨時検問所としての位置付けとなっている。

モータウン・シンコンの国境については、タイ側でも事業者や市民団体が格上げを求めているようだ。複数ある両国を結ぶ国境の中で、タイの首都バンコクに近いためだという。

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