【マレーシア】医療支出の伸び率、東南ア最高に=フィッチ[医薬]

格付け大手フィッチ・グループ傘下の市場調査会社BMIは14日、マレーシアの医療産業は東南アジアの他国よりも速いペースで成長する可能性が高いとの見通しを示した。医療支出の急速な伸びを市場拡大の要因とみる一方で、医師や看護師の不足などを今後の課題に挙げている。

BMIは、マレーシアの医療支出の伸び率について、中期的に東南アジアで最も高くなると予想。2023~28年の年平均成長率(CAGR)は8.3%に達すると試算した。政府の予算配分増や民間企業の投資拡大が医療支出の伸びを支え、結果的に医療産業の成長を促すとの見方を示している。

さらに、1人当たりの年間医療支出が世界平均を上回っていることから、BMIは「先端医療製品の調達に関しても、マレーシアは高い支払い能力を維持している」と指摘。医療観光分野で域内各国との競合が激化するなか、最新の医療製品を備えたマレーシアは比較的有利な立場を確保していると説明した。

一方、BMIは医療従事者の不足を課題として挙げ、政府が目標とする「患者400人につき医師1人」を達成できていないことに懸念を表明。医師と看護師の数は世界の中央値を下回っており、特に公共部門と農村で人手不足が深刻化していることが、医療産業の成長に影を落としていると指摘した。BMIは医師、看護師の増加率を23~28年で年平均3.4%と予想している。

BMIは昨年8月、マレーシアの27年の公共医療支出が595億リンギ(約1兆9,960億円)、民間医療支出は444億リンギに達するとの見通しを示していた。

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