【日本移民の日】日本移民116周年記念日に寄せて=サンパウロ日伯援護協会会長 税田パウロ清七

税田パウロ清七

 1908年(明治41年)6月18日、「笠戸丸」に乗船した最初のブラジル日本移民781人がサントス港に上陸し、今年で116年の歳月が流れました。今や、ブラジル日系社会は約200万人を擁する大きなコミュニティーに発展し、先達の皆様方の幾多のご労苦とご功績に対し、深甚なる感謝の念と敬意を表したいと思います。
 この間の約1世紀余り、ブラジル日本移民及びその子孫たちは農業分野での目覚しい貢献のみならず、工業、商業、政治、芸術・文化、教育等々のあらゆる分野において日本人特有の誠実さと勤勉さと不断の努力によってブラジル社会の発展に大いに寄与し、今日ではブラジル社会にとって、なくてはならない存在として確固たる地位と信頼を築き上げております。
 さて、サンパウロ日伯援護協会(援協)の活動も日系社会の皆様のご協力により、すべての部門において大変意義のある成果を上げております。援協がブラジル社会及び日系社会で注目され、尊敬される存在となったのは、先人の皆様方のたゆまぬ努力と献身、そして真剣な取り組みによるものです。
 現在、援協は3400人の従業員と1千人の医師を擁し、プロ意識と愛情と献身をもって仕事に打ち込む素晴らしい組織へと成長しました。援協グループは、医療と社会福祉の2つの事業を展開しております。医療事業分野では、日伯友好病院(HNIPO)をはじめ、サンミゲル・アルカンジョ病院(HSMA)、イタペチニンガ病院(HLOB=レオ・オルシ・ベルナルデス病院)、サンパウロ市リベルダーデ区にある日伯友好病院医療診断センター及び自閉症児療育施設(PIPA)の5つの部門を運営。社会福祉事業分野では、カンポスさくらホーム、サントス厚生ホーム、スザノ・イペランジアホーム、あけぼのホームの4つの老人施設をそれぞれ運営しております。
 これら9つの部門に加え、日伯友好病院周辺に住む貧困家庭を支援する日伯友好病院福祉部や、サンパウロ州のさまざまな地域で週末にキャラバンを行う移動医療支援も実施しております。皆様の援協に対する評価、支援、援助に心から感謝申し上げます。
 援協は今後も、創立の理念であります「社会的弱者の救済援護」の精神を忘れることなく誠実な活動を実践し、ブラジル社会と日系社会における援協の知名度を常に向上させるため共に努力し、今後も責任を持って真摯に取り組んでまいります。
 最後になりましたが、開拓先没者の方々の偉大なる功績は日系社会のみならず、ブラジル社会の中で未来永劫、生き続け、輝き続けるものと強く確信しております。

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