これがあるから買っちゃう スーパーの「値引きシール」 ベテランの勘から「AI」の判断へ 天気や販売実績もとに早い時間から貼ることも

スーパーなどで買い物をするとき、見つけるとうれしいのが「値引きシール」。

いま、この「値引き」にも、AIの活用が広がっている。値引きの世界に起きている変化を取材した。

■スーパーの値引きが変わる “遅い時間”じゃなくても値引きの商品も

大阪府守口市の「イオンスタイル大日」。平日の夕方は、晩ごはんの準備のための買い物客でいっぱいだ。この時間、多くの客の視線を集めるのは…、「値引きシール」。

-Q.値引きは気にする?
買い物客:してます。夕方には来るようにしてます

買い物客:マグロのトロ。(Q.割引されてなかったら?)買わない。値引きしてるから買った。

「少しでもお得に買いたい」と気になる“値引きのあり方”に、実は大きな変化が起きている。

イオンリテール株式会社広報部 大瀧和孝さん:今回導入するのが、『AIカカク』というシステムになります。

イオンではもともと、ベテランのスタッフなどの経験や勘で値引き率を決定していた。しかし、5月から肉や魚などの生鮮食品を対象に、AIが自動で値引き率を算出するシステムを導入したのだ。

AIは過去の販売実績や、曜日、天気などさまざまな情報をもとに、それぞれの商品がこの後どのぐらい売れそうか、自動で予測。売り上げ予測と、実際に残っている商品の差などから「値引き率」を決めるのだ。

午後4時半時点の「牛タン」で試してみると…
従業員:『4つ以上残っていたら、値引きをしてください』と指示が出ますので、今残っているのが4つなので、“4”と押して、『30パーセント引きにしてください』と指示が出る。

AIの魅力は合理的な値引きを行えるようになることで、食品ロスがおよそ1割削減されたという。

また、消費者にとってもうれしいメリットが…
イオンリテール株式会社広報部 大瀧和孝さん:これまでだと決まった時間に、決まった額で値引きされていた。もっと柔軟に1割、2割とか少額から、割と早い時間から値引きされることもあるので、そういった点でよりニーズに合わせて販売ができる。

利用する客は…
-Q.AIが値引き率決めてるのだが
買い物客:えっそうなんですか。そうなんや。昔は遅い時間じゃないと、値引きがないイメージだったんですけど、ここ最近、中途半端な時間に来ても、値引きの商品があるなとは思ってた。

■コンビニでも値引きや発注にAI活用で時間短縮

AIによる値引きはコンビニ業界でも。ローソンでは、おにぎりや弁当などを対象にAIが値引き額を提案している。

さらに…
-Q.今どんな作業を?
ローソン広芝店店長 後藤千聖さん:これは明日の発注数を決めてます。各個店の状況に基づいて、発注の推奨数をAIが決めてくれています。

商品の発注数を決めるシステムにおいても、AIを活用し、ことし4月から順次導入されている最新版では体感温度や風速など、より細かな情報への対応が可能になっている。

店長などが1人で悩みながら発注数を決めていた頃とは違い、AIが瞬時に発注数を提案してくれることで、業務の効率化につながっているという。

株式会社ローソン広報部 杉木創也さん:(AIによって)すごく時間の短縮につながっています。それによって、お店でプラスアルファの業務ができるようになっています。たとえば納品された商品を、いかにお客様にきれいに見せるかという売り場作り、新しく入られたアルバイトの方とか、教育の時間に費やすことができる。

普段、何気なく利用するスーパーやコンビニに浸透しているAI技術。私たちの暮らしを支える一手になりそうだ。

(関西テレビ「newsランナー」2024年6月17日放送)

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