“夫婦別姓”は企業経営視点からも無視できない課題…「名字の変更による不便や不利益の負担が女性に偏っている」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、経団連も早期実現を求めた“夫婦別姓”について、意見を交わしました。

◆"夫婦別姓”経団連が提言「早期実現を」

経団連(日本経済団体連合会)は、希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる「選択的夫婦別姓制度(夫婦別姓)」の早期実現を求める提言を初めて発表しました。十倉雅和会長は、「日本でもこれだけ女性の社会進出が進んできたことを考え、もっとこれを進めなくてはならない。スピーディーに議論をしていただきたい」とコメントしています。

現行の法律では、結婚の際に夫婦はどちらかの名字に統一するよう義務付けられ、実態として95%のカップルが男性側の名字を選んでいます。

このため経団連は、「名字の変更による不便や不利益の負担が女性に偏っている」と指摘。実際、名字の変更によって健康保険証や運転免許証、そしてそれらを証明書としている銀行口座、携帯電話、クレジットカード、インターネット上の登録情報など多くの改姓手続きがあります。

また、経団連の調査では91%の企業が旧姓を通称として使用することを認めていますが、そこにも問題は山積。例えば、社員の税や社会保障などの手続きで戸籍上の姓との照合が必要になったり、海外出張時にパスポートの名前と通称が異なり、トラブルが発生したケースも。経団連は「企業経営の視点からも無視できない課題」としています。

◆夫婦別姓は企業経営視点からも無視できない課題

夫婦別姓については長年議論されてきたものの、その都度うやむやに終わってきた経緯があり、「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは「夫婦別姓を求めてきた人がいるからというのもあると思うが、企業の役員にも徐々に女性が増え、その人たちが危機感を感じてようやくここまできた。企業側で問題だと向き合ってきた人たちがちゃんと声が上げられるようになった」と経団連から声を上がったことを素直に喜びつつ、「もうそろそろ解決して、次に進んでほしい」と切望します。

山田進太郎D&I 財団COOの石倉秀明さんは、STEM領域における女性進出を支援しており、その活動のなかで「数が増えることで動くことはある」と実感したといいます。例えば、大学の理系学部に女性が増えることで女子トイレが増えたり、女性の体力を鑑み実験内容が変更されたりしたそうで、「女性の数、比率が増えることで初めて男性も気づき始めることがある。能條さんも言っていたが、企業のなかで管理職の女性の比率が増えるメリットはこうしたところにある」と指摘します。

キャスターの豊崎由里絵は、実際に夫婦別姓による弊害を被ったことがあるとし、「"豊崎”は生まれた時の姓で、結婚しても仕事はそのまま豊崎でやっていて、ちょうど結婚したタイミングで海外出張の仕事が入った際に、まだ社内に結婚を発表していなかったので、今思えばどうでもいいことだがいろいろとややこしかった」と回顧。

ジャーナリストで海洋冒険家の辛坊治郎さんも、「海外はセキュリティが厳しいので、パスポートの名前でないと入れない公的機関などもある」と夫婦別姓によるビジネス面での不都合を話しつつ「ただ、私は国家の管理はできるだけ小さいほうがいいと思う」と持論を展開。

なお、夫婦別姓議論の延長線上には"戸籍制度”にまで話が及ぶことがあります。キャスターの堀潤はその辺りを案じると、能條さんは「戸籍の問題になると議論に時間がかかると思うので、やはりまずは夫婦別姓、これはイデオロギーの問題ではなく、本当に不便な問題であり、旧姓を使用し続けてほしいという人と実際に動いている人たちのリアリティがズレている」と指摘。

石倉さんは、人権や戸籍などあらゆる問題を整理・調整しつつ、その上でしっかりと法整備をするのが、「国会議員の仕事じゃないのか」と疑問を呈していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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