スネ夫や花輪クンはなぜ裕福? 漫画のド定番「お金持ちキャラ」たちの“お金の源泉”を探る

Kissコミックス『白鳥麗子でございます!』第4巻(講談社)

漫画やアニメに頻繫に登場し、抜群の存在感を放つ「お金持ち」のキャラクターたち。家が広かったり高級車に乗っていたりするだけでなく、中には自家用ヘリを持っていたり執事がいたりする桁違いな人物もおり、「どれだけお金持ちなの!?」と驚くばかりだ。

フィクションの世界とはいえ、なんとも羨ましい限りだが、いったい彼らは「なぜお金持ち」なのか、そのバックボーンも気になるところ。そこで今回は、名作漫画に登場したお金持ちキャラの“お金の源泉”に迫ってみよう。

■ガキ大将の子分ポジションのお金持ち「スネ夫」

まずは国民的漫画『ドラえもん』から、骨川スネ夫を見ていきたい。骨川家はポルシェやクルーザーを所有しており、家は東京都練馬区にある広い庭付きの豪邸。四丈半島には骨川家の別荘もあり、夏になるとそこで休暇を過ごしたりする。

父親の趣味は骨董品集めで、母親は宝石をいくつも所有している。さらに、血統書付きの猫や錦鯉、犬などのペットも飼っていて、作中では母親がなくした1000万円のダイヤを猫が見つけてきたというエピソードもあった。一方で、クルーザーが中古だったり作中では母親のケチな描写があったりと、意外と倹約家でもあるのだ。

そんな骨川家の父親は、会社社長。世界を飛び回り芸能関係や出版関係にもパイプがある大物で、スネ夫はコネでタレントと会うなどおいしい思いをしている。会社の詳細は明記されていないが、社長を継ぐと発言していたスネ夫が、映画『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』で貿易会社の社長になっていることから、父親の会社も貿易関係なのかもしれない。

また、骨川家は親族も金持ちだ。NY在住の叔父も経営者で、本編にほぼ登場しない幻の弟・スネツグはこの叔父の養子になってNYに住んでいることが「スネ夫は理想のお兄さん」の回で明かされている。

■心優しき執事“ヒデじい”も羨ましい「花輪クン」

「ヘイベイビー」でお馴染み、『ちびまる子ちゃん』に登場するキザな金持ち・花輪クンこと花輪和彦。初期はやや嫌味っぽかったが、学力が高くスポーツ万能なうえに紳士的で、字が下手という以外は弱点のない人物である。

普段は離れ付きの豪華な洋館(自宅のトイレがまる子の部屋と同じくらいの広さ)に住んでいて、通学はロールスロイス。外国にも頻繁に旅行しており、書籍『ちびまる子ちゃん大図鑑DX』によると成績が良かった時のご褒美はアフリカ旅行なのだとか。まる子たちに「私立にいきゃいいのに」と言われるのも納得の富豪ぶりだ。

家族構成は両親と執事のヒデじい(西城秀治)と犬とオウムだが、両親は仕事でほぼ海外にいるため、実質ヒデじいと暮らしている。

そもそも花輪家はおじいちゃんが弁護士かつ大地主という代々金持ちの家系なのだが、両親も世界を股にかけてバリバリ働く優秀な人物。スネ夫同様作中で明記されてはいないが、スピンオフ作品『永沢くん』で、父親の仕事がパリ、ロンドン、ミラノ、ニューヨークなど複数の国に店を持つ経営者ということが明かされている。

■何かと凶悪事件に巻き込まれる財閥令嬢「鈴木園子」

『名探偵コナン』の登場人物の中で桁違いの財力を持つ社長令嬢・鈴木園子。社長令嬢といえば高飛車なキャラも多いが、園子は上から目線になることもなければ金持ちをひけらかすこともない。

コネを使って芸能人のパーティやイベントには参加するけれど、蘭と同じ学校に歩いて通っていたりアニメエピソード「魔女の棲むお菓子の家」で描かれていたように、半額で食べられるケーキフェアに行ったりと庶民的なお嬢様だ。

家族構成は両親と姉・綾子と園子で、父親の史郎は日本で指折りの財閥・鈴木財閥の会長。鈴木財閥は国内外の別荘をはじめ飛行船・客船、果てには鍾乳洞や高層タワーまで様々な物件を所有している、とんでもない大金持ちだ。

鈴木財閥の財力を見せつけたのが劇場版『業火の向日葵』での一コマ。この時、園子の叔父であり怪盗キッドと因縁のある相談役の次郎吉が、ゴッホの「ひまわり」を3億ドルで落札したのである。3億ドルは、当時のレートで300億円を軽く超える。億単位のお金をバシバシ動かしており、桁違いの金持ちぶりに度肝を抜かれてしまう。

■警察兼社長!イケメン高身長のハイスペ男子「中川圭一」

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の中川圭一は、世界的企業・中川コンツェルンの御曹司で、イケメン、金持ち、高身長の超ハイスペック。だが、警察署の“ツケ”でタクシー通勤したり制服を勝手に作ったりと個性も突き抜けていた。

高級スポーツカー5000台所有など突き抜けたエピソードが多い一方、「百円ショップ大論争!!の巻」の回では「10円なんて今でも流通してるの? 僕は生まれてからカードしか使った事ないから」とも発言しており、常識知らずな一面もある。ちなみにこの時、同じく派出所メンバーである秋本麗子も同じ発言をする場面もあった。

中川コンツェルンは、明治時代から続く財閥だ。現在は中川商事・中川エレクトロなど複数の企業を総括し「1秒に1億円稼ぐ」と言われる圭一の父親・龍一郎が当主である。元総裁の祖父や曾祖父はかつて男爵の爵位を与えられていたほど地位が高く、母親の小百合はピアニストで女優で会社社長だ。

さらに妹の登志恵や叔父たちもみな社長という恐ろしい一族である。本来であれば圭一も家業を継ぐが、警察官をやめたくないと突っぱね、警察官と中川エクスクルーシブの社長という二足の草鞋を履く形になった。

中川家は莫大な財産を有する一族ながらハードワーカーばかりなので、家族が揃うことがほぼない。花輪クンも同じだが、仕事優先の金持ち家族は関係が希薄に描かれることが多々あり、切なさも感じてしまう。

このほかにも、『おぼっちゃまくん』や『花より男子』の道明寺司、『ハヤテのごとく!』の三千院ナギなど、「兆」レベルの莫大な資産を持つキャラが存在する。漫画の世界ではあるが、「いいなあ」と思わずにはいられない。

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