巨人で傷ついたプライド「理解できない」 出場は週2試合…空しい六本木と2軍の“通勤”

巨人時代のルイス・クルーズ【写真:産経新聞社】

クルーズはロッテから2016年に巨人に移籍も「厳しい時間が多かった」

2014年に来日したルイス・クルーズ内野手は、2017年途中に金銭トレードで巨人から楽天に電撃移籍した。ロッテ時代の2015年には球宴出場を果たし、ゴールデングラブ賞を獲得した名手だが、日本での後半2年間は「厳しい時間が多かった」と振り返る。Full-Countのインタビューでは、チーム方針に納得できずトレードを志願した当時の思いを激白した。

巨人移籍1年目だった2016年は4度の登録抹消を繰り返し、最終的には81試合の出場。どうしても納得がいかなかったのが、起用法だった。

「自分は守備を評価して獲ってもらったと思っていた。でも7、8回になると守備固めに交代させられる。それが何度もあったので全く理解できず『何で僕が交代させられないといけないんだ』と聞いたことがありました。答えは『日本人の方が健全なプレーをするから安心できる』と。派手なプレーをするからリスクがあって心配だと言われると、自分らしいプレーをすることはできない」。名手のプライドは傷ついた。

2017年はファウルチップを当てて足首を骨折した影響もあり、なかなか1軍から声は掛からず、2軍戦での出場を続けていた。追い打ちをかけたのが契約面の問題だ。「出来高は普通1軍の成績につくけど、この契約はファームの成績もカバーされていた。その時点で出来高が発生していたので、プレーしなくていいよという感じで……。週に2試合、2打席ずつ立つくらい。あとは六本木の自宅からよみうりランドを往復するだけの日々が続いた」。そこでクルーズは行動に出た。

インタビューに応じた元ロッテのルイス・クルーズ(写真はスクリーンショット)

楽天ではわずか13試合出場「貢献できなかったのは申し訳ないが…」

「チームに『インセンティブはいらないからプレーさせてくれ、チームを変えてくれ』とお願いした。3年目の契約はチームオプションだったので、このままだと確実にないだろうと分かっていた。次の年も日本でプレーしたいと思っていたから、ファームでもいいからほかのチームでプレーしたいという思いを伝えて、移籍が叶ったのだと思います」

7月26日に楽天移籍が発表され、同日1軍登録。結局は13試合で打率.162、0本塁打、2打点と決して成績を残したとは言い難い。それでも「1軍にいられなくても、その後ファームで長くプレーできた。自分としては、巨人でつらい思いをするよりは楽天で過ごせてよかった。チームに貢献できなかったのは申し訳ないが、試合に出られて落ち着いた生活ができた」と振り返った。

今も再来日を熱望するほど、クルーズにとって日本は大好きな場所だが、4年間では酸いも甘いも味わった。(町田利衣 / Rie Machida)

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