梅雨シーズンも油断禁物 今から気をつけたい「梅雨冷え」とは? 対策を医師に聞いた

梅雨時期は体調不良に要注意(写真はイメージ)【写真:写真AC】

梅雨時期に雨が続いて、気温が下がることを「梅雨冷え」といいます。湿度が高い状態で気温が下がると、体にさまざまな不調が現れるおそれが。全国的な梅雨入りはまもなくの予想です。どのようなことに気をつければいいのでしょうか。内科医の佐藤留美医師に伺いました。

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梅雨冷え予防には、通気性と速乾性に優れた洋服を選ぶ

天気が不安定な梅雨の時期。晴れると気温が上がる一方で、雨が続くと気温が下がります。この気温差や気圧の変化が繰り返されると、自律神経が乱れがちに。ほかにも血流が悪くなったり、代謝が低下したりと、さまざまな不調を引き起こします。

梅雨冷えによる不調の症状としては、頭痛、めまいがする、食欲がない、体がだるい、体がむくむ、胃が重たく感じる、便秘をする、下痢をする、関節痛などがあります。

蒸し暑い日に冷房を使用したり、冷たい食べ物や飲み物を摂取したりすることで、追い打ちをかけるように血行不良が起き、不調につながるでしょう。逆に、肌寒い日に薄着で体を冷やすことも体調不良の原因になります。

とくに、温度が低く湿度が高い日は、うまく発汗できなかったり、汗が蒸発せず体に熱がこもってしまったりすることが。汗をかいても快適に過ごせるよう、梅雨時期は通気性と速乾性に優れた素材の服を選びましょう。また、寒いときに羽織れるような長袖カーディガンなどを持参することも大切です。

ほかには、雨に濡れると体が冷えるので、折りたたみ傘やレインウェア、レインシューズ、防水バッグで対策しましょう。濡れた場合はすぐに拭き取ってください。もし雨に濡れたら、着替えができるように予備の洋服や靴下もあると、なおいいと思います。

温かい食べ物やビタミンを意識的にとる

ジメジメと蒸していると、冷たいものを食べたくなりますよね。しかし、冷たい食べ物を摂取すると血流が悪くなり、胃腸の働きが低下。栄養素を十分に体内へ吸収することができなくなります。その結果、体力の低下につながってしまうのです。夏場同様、梅雨冷えのときも冷たいもののとりすぎには注意しましょう。

胃腸を活発化させるには、体を温める食材を摂取してみてください。温かいものを食べると発汗が促されるので、温かいスープやみそ汁を食べると効果的。発汗を促す唐辛子やショウガ、ニンニク、タマネギを食べるのもおすすめです。

さらに、ビタミンEやビタミンB1は、手足の細い血管を拡張し血行を良くする働きがあります。ビタミンEが多い食材はウナギ、ナッツ類など。ビタミンB1が多い食材には、豚肉や玄米、そば、大豆などがあります。また、ビタミンCには、寒さによるストレスを和らげる効果や抗酸化作用が。多く含まれる食材には、レモンやアセロラ、ブロッコリー、パプリカなどが挙げられます。

逆に避けたい食べ物は、体を冷ましたり、胃腸を弱らせたりする食材です。アイスやジュース、ビールなどの冷たいもの、刺身や生野菜、果物などの生ものは避けましょう。

梅雨は体調を崩しやすい季節。今から食べるものに気をつけ、体が冷えない工夫をすることが大切です。

佐藤 留美(さとう・るみ)
久留米大学医学部卒業後、同大学病院や市中病院にて臨床医として研鑽を積む。大学院では感染症学の研究に励み、医学博士号を取得。臨床面では内科・呼吸器・感染症・アレルギーなどの専門医及び指導医となり、同大学関連の急性期病院にてCOVID-19の診療など第一線で活躍中。花粉症や喘息などのアレルギー疾患の診療経験も豊富。その傍ら、現在は藤崎メディカルクリニックの副院長として地域医療にも取り組んでいる。

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