新居浜のアーティスト・石村嘉成さんの歩み教科書に 来年度中1道徳に収録 家族愛・努力の「応援歌」

石村嘉成さんの歩みが紹介されている中学1年道徳教科書

 2025年度から使用される中学校道徳の検定教科書に、愛媛県新居浜市のアーティスト石村嘉成さん(30)が登場する。自閉症で、両親の熱心な療育を受けてきた。生き物の命の輝きを描く絵や版画が国内外で評価されるまでの歩みが、自分らしい生き方や家族愛を学ぶ教材となっている。

 教育出版(東京)の中学1年「中学道徳 とびだそう未来へ」に収録された35本の教材の一つ「僕の応援歌」(全6ページ)。フリーアナウンサー戒田節子さんが書き下ろした。

 嘉成さんは2歳で自閉症と診断された。コミュニケーションを取るのが難しく、意に沿わないと泣いて暴れた。母有希子さんは「誰からも愛される人になってほしい」と、生活習慣や勉強、社会のルールを根気強く教える。しかし、嘉成さんが小学5年の時にがんで亡くなった。

 嘉成さんの創作の原点は、高校で取り組んだ版画だった。大好きな生き物を大胆に描き、展覧会で入選。集中力や記憶力を発揮して腕を磨き、国内外で賞を受けた。かつて母が動物園に連れて行ってくれた影響で題材は生き物が多く、生命力や親子の情愛を表現する。

真剣な表情で色を塗り重ねる石村嘉成さん。「暴れん坊だが、人を助け、平和を願う優しさを持った空想生物」を描いているという

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