長崎市放影研の被爆地域拡大報告書 市 厚労省に提出意向 「突破口の一つになる」

 長崎市の鈴木史朗市長は18日、市原子爆弾放射線影響研究会(朝長万左男会長)が先月まとめた被爆地域拡大に関する報告書を、厚生労働省に提出する考えを示した。報告書は低線量被ばくについて「人体影響を認める確固たる知見は見いだせなかった」としており、国の指定地域外で原爆に遭った体験者の団体が「国が被爆地域拡大を否定する材料に利用する恐れがある」との懸念を示していた。
 同日始まった定例市議会一般質問で池田章子議員(市民ク)の質問に答え、議論の結果を厚労省に伝えることが「被爆地域拡大是正の突破口の一つになる」と述べた。今後、市議会教育厚生委員会でも議論する。
 同研究会は2013年に設置し、国内外の論文を議論。先月まとめた報告書を6日、鈴木市長に提出し、市長は「議会の意見を聞きながら(国に提出するか)判断する」としていた。
 答弁で鈴木市長は、報告書が▽一部地域で低線量被ばくがあったと推定される▽近年は人体影響を示唆する国際的論文も複数出ている-などとしていることに触れ、「10年半の議論を問題解決の糸口にしたいという会長の思いも踏まえ、『科学的知見に関する論文が出始めている』と国に伝える」とした。

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