労災死亡事故、過去最悪ペース 長崎労基署管内・今年5月末までに4人 

 長崎労働基準監督署管内の労災死亡事故が過去最悪のペースで増加している。今年は5月末時点で4人が死亡し、既に昨1年間の死者数と並んだ。緊急対策として同署は県労働基準協会長崎支部など7団体に対し、労災防止対策の周知徹底や再確認などを求める文書を20日に交付する。
 同署によると、夏場は熱中症の発生など重大な労災の多発が懸念される。管内(長崎、西海、西彼長与、時津4市町)の労働死亡事故は記録が残る1999年以降、5月末時点では今年と2000年の4人が最多。1年間では08年の10人が最も多いという。
 同署によると、建造中のケミカルタンカーのタンク内で1月に転落事故、3月に火災がそれぞれ発生。どちらも作業員1人が亡くなった。4月には解体中の建屋が崩落し、解体用機械を運転していた作業員が下敷きになって死亡。5月には残土処理場でホイールローダーと呼ばれる重機が路肩から転落、運転していた作業員が下敷きになって亡くなった。
 要請書交付のほか、26日には同署の井上和秀署長が業界団体の労災防止担当者と長崎市内の建設現場をパトロールする。
 中川征治副署長は「基本的な対策を怠った結果、事故が起きているケースもある。危険行動を見逃さないように意識を高め合ってほしい」と語った。

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