三陸わかめ3割減産 鳴門も不作で価格高騰 日本わかめ協会が総会

日本わかめ協会(東京都新宿区、水野久三彦会長)は6月5日、東京・四谷の理研ビタミン本社で通常総会と意見交換会を開き、不作による価格高騰に至った主産地の状況を共有した。

2024年度の三陸わかめは水揚量が前年比70%(1万4千357t)にとどまり、生原藻換算の平均単価は48%も上昇した。

高水温の影響で種の発芽が遅れたことに加えて、1月下旬の南岸低気圧により宮城県では内湾系のわかめが流失。2月末の時化では外洋系のわかめが流失・損傷し、2月27日初回入札の上場数量は前年比55%減。その後も数量は伸びないまま、入札価格は過去最高値を更新し続けた。

3月には刺胞動物ヒドロゾアが広範囲で発生し、付着部分を生産段階で除去したため出品量のさらなる減少につながった。

岩手県でも3月末報告で上場数量が過去最低、入札価格が最高値となるなど、三陸わかめは厳しい状況に陥った。

徳島県の鳴門でも、水温が例年よりも高くアイゴやクロダイによる食害が発生。収穫できたわかめの品質は良いものの、全体で約25%の減産、全国的な不作の影響もあり入札価格は20%以上に上昇したという。

今後については、地球温暖化による高水温の影響が不作の大きな要因であるため、不安定な供給が続くのではないかとの見通しが示された。

水野会長は今期を振り返り「想定外なシーズンだった。国内の不作のみならず、中国・韓国からの輸入品現地価格の高値基調、150円を超す為替の影響もあり、厳しい仕入れとなった。これから新わかめの製品化と販売を進めるにあたり細心の注意が必要になる」と語った。

なお通常総会では一部役員の改選を含めてすべての議題が全会一致で可決。4月末時点の会員数は81社だった。

© 株式会社食品新聞社