例年よりも遅い時期の開催。気温上昇などの影響で3ストップの可能性も/ピレリF1スペインGPプレビュー

 今週末のF1第10戦スペインGPに向けて、ピレリは最も固い組み合わせのタイヤを持ち込む。しかし今年のスペインGPは例年よりも遅れて開催されることから、気温の上昇などの影響により、2ストップ、あるいは3ストップのレースになるとピレリは予想している。

 スペインGPにはハード寄りのタイヤが持ち込まれるが、これは今年2回目のことだ。バーレーン、シルバーストンとともに、バルセロナ-カタロ二ア・サーキットはピレリにとって最も困難な場所だ。非常に長いコーナーと高速コーナーが組み合わされており、ドライバーだけでなくタイヤにとっても試練となる。

 スペインGPの公式プレビューで、ピレリは次のように説明している。

「このイベントに向けて、ふたたびC1ハード、C2ミディアム、C3ソフトという、2024年のドライタイヤコンパウンドとして最もハード寄りの3種類を選んだことは驚くにあたらない。これは開幕戦のバーレーンGPで選ばれた3種類と同じだ」

2024年F1第1戦バーレーンGP スタートシーン

 ピレリ、F1チーム、そしてドライバーにとってさらなる課題となるのは、1991年のF1初開催と、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年シーズンを除けば、このコースでグランプリが開催されるのは今回が1年で一番遅い時期になることだ。

「今年のレースは2023年よりも3週間遅れて開催されるので、より暑くなる可能性があることから、タイヤマネジメントに別の要素が加わることがあり得る。この温度の問題により、C3は不利になる可能性があるものの、昨年はレースにおいても非常に競争力があり、20人のドライバーのうち16人が第1スティントに選んだ」

 気温はより高くなり、日中の気温は25度から29度になると予測されている。つまり路面温度は50度に達する可能性があることから、ピレリは、スペインGPは複数回のピットストップが行われるレースになると予想している。ピレリによると、「戦略的には、すべてのコンパウンドが使われる可能性のある2ストップが最も速い選択肢であるはずだ。特に、昨年のレースでオーバーテイクが過去よりも簡単であることが証明されたので、デグラデーションがひどければ3ストップも実行可能かもしれない」ということだ。

2023年F1第8戦スペインGP スタート直後のターン5

 とは言うものの、このコースではできるだけ上位からスタートすることが、よい最終結果を得るために重要であることを歴史が示しているし、ピレリもそう認めている。

「バルセロナ-カタロニア・サーキットでのもうひとつの留意事項は、予選の重要性だ。24戦ものレースで、ポールシッターが1位でチェッカーフラッグを受けてきた。この統計の重要性に加えて、予選で最速だったドライバーがレースをリタイアしたことも4回ある」

「このコースでは、F1カレンダーに初めて登場した1991年から使われていたオリジナルの構成が復活した。コースは2007年に変更され、最終コーナー手前にシケインが設けられた。さらなるオーバーテイクのチャンスを作り出す狙いだったが、そうはならなかった。シケインをなくしたことと、現行マシンの空力構成が相まって、オーバーテイクが増加したので、追い抜きのチャンスという点では昨年にこのコースは中程度からトップ4のひとつになった」

 オーバーテイクを容易にするコースデザインと複数のタイヤ戦略が作用することで、今週末のスペインGPは、直近のF1レースであるモントリオールがそうであったように、もうひとつの名レースとなるかもしれない。

2023年F1第8戦スペインGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得

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