朝倉海、UFCへの挑戦で兄・未来は絶賛も日本の格闘界が楽観視できない理由

兄の朝倉未来とともに、日本の格闘技界の人気選手として活躍中の朝倉海。9日に都内で開催された格闘技イベント『RIZIN.47』のリング上で、世界最高峰の米の格闘技団体・UFCへの参戦を発表した。

海は、「今日はみなさんに重要なお知らせがあって、この時間をつくってもらいました。僕はRIZINのベルトを返上して、UFCに行きます!」と宣言。昨年おおみそかに獲得したバンタム級のベルトの防衛戦を行わないまま、返上してのUFC参戦を発表した格好だ。

「RIZINのトップファイターとなり、“ドル箱選手”の道を駆け上がった海だが、防衛戦を行わないままUFCに送り出したのは、RIZINの榊原信行CEOの懐の深さだろう。現行の体制に移行してのUFCには数多くの日本人選手が参戦したが、誰も王者を獲得していない。UFCのトップ選手を相手に対等にやり合えれば、評価は大いに上がるだろうが、まったく歯が立たなくて連敗してしまうと、選手としての〝価値〟が大幅に下がってしまう。RIZIN側にとってはリスクしかない」(格闘技業界関係者)

一方、海の兄・未来は10日、公式YouTubeチャンネル『ガチの朝倉未来』を更新し、海のUFC参戦に言及。「海もめちゃめちゃ強くなってるので。JTT(所属ジムであるJAPAN TOP TEAM)の環境も良く。いっちゃうんじゃないかなと思うけどね、マジ。チャンピオン、いっちゃうんじゃないかなって」と大いに期待。さらに、「しかも超厚待遇みたいで。すぐにタイトル戦とかいっちゃうと思う」と、「これでUFCのチャンピオンになったら(男子で)アジア人初ですから」「これやったらすごいよ。快挙ですよ。UFCのチャンピオンって本当に世界一だからね」とかなり楽観視している様子だ。

その一方、格闘家としてこれまで国内外で活躍している格闘家の青木真也は「東京スポーツ」の取材に対し、「フライ級に下げるなら好勝負はあり得る。層が薄いから。ただ、バンタム(級)のままなら厳しいと思う」と指摘。さらに、「UFCバンタム級の上位陣が相手だと、試合にすらならないはずだ。その差は、俺自身も経験しているからわかるんだ」と言い切ったが、青木の発言が、大半の日本の格闘家や業界関係者の見立てだという。

「そもそもUFCは、30歳を超えた新規の選手を獲得していなかったが、UFCにパイプのある榊原氏の売り込みによって参戦がかなった。しかし、いきなりバンタム級のランキング上位の選手を当てられる可能性が高い。また最近のUFCは選手を抱え過ぎているので、2連敗したら契約を解除されることが多い。ただ海選手の場合、RIZIN王者の肩書があるので、3連敗までは大丈夫かもしれない。現在の日本人UFC参戦選手では、バンタム級では、学生時代から実績のある中村倫也選手が2連勝で期待がかかっているし、1階級下のフライ級では、平良達郎選手が6連勝中。なので、海選手はそこまで期待されていないのが現状だ」(格闘技担当記者)

こうした雑音をよそに、朝倉海がどのような活躍を見せてくれるのかが注目される――。

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