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米航空機大手ボーイングのデイヴ・カルフーン最高経営責任者(CEO)は18日、米連邦議会上院の公聴会に出席し、同社の企業文化について証言した。公聴会中、墜落事故の遺族がカルフーン氏に詰め寄り、同氏が遺族に謝罪する場面もあった。
カルフーン氏は、ボーイングはこの失敗から「学んで」おり、従業員からの内部告発プロセスも「機能」していると述べた。しかし議員たちは、報復が横行する社内文化を是正する取り組みが不十分だと批判した。
ボーイングをめぐっては、今年1月に米アラスカ航空が運航していた「737MAX9」のドア部分が離陸直後に吹き飛んだ事故が起きて以来、製造方法と安全性が注視されている。
上院は4月、ボーイングの内部告発者を集めた公聴会を開催。その中では、「737マックス」、「787ドリームライナー」、「777といったモデルには深刻な生産上の問題があったという証言が出た。
一連の不祥事を受け、2020年に同社CEOに就任したカルフーン氏は、年内の辞任を発表している。
遺族がCEOに詰め寄る場面も
カルフーン氏は18日の公聴会で、問題のいくつかは「トレーニングを受けていない従業員」に原因があると説明。新型コロナウイルスのパンデミック後に業界を襲った人員整理や離職が、ボーイングの製造過程での問題を招いたと述べた。
「問題の大半は、トレーニングを受けていない従業員と関連している。正直に言って、それがすべてだ」と、カルフーン氏は語った。
ボーイングは5年前にも、2018年末と2019年初めに起きた「737マックス8」型機の墜落事故にからみ、大きな批判を浴びた。この事故では合わせて346人が死亡。個別の事故だが、原因はほぼ一致していた。
この日の公聴会には、事故の犠牲者遺族も出席しており、犠牲者の写真を掲げていた。
遺族らは、公聴会の前に記者会見した。2019年の事故で父親を亡くしたジッポラ・クリア氏は、「ボーイングのCEOが米上院と世界に向けて、同社の安全対策改善について直接語るのを聞くためにイギリスからワシントンまで飛んできた」と述べた。
「また、ボーイングと経営陣について、346人の死に対する刑事責任を追及するよう、アメリカ政府に引き続き強く求めている。正義が実現するまで、私たちは決してあきらめない」
同じく2019年の事故で娘を失ったクラリス・ムーア氏は、公聴会でカルフーン氏を問い詰め、「機内での娘の最後の息」について尋ねた。
「娘は私のことを呼んだのだろうか? 誰かが彼女の手を握っていたのか?」と、ムーア氏は詰め寄った。
公聴会の委員長、調査を継続すると
リチャード・ブルーメンソール委員長は緊迫した公聴会を始める際、遺族が「今日この場にいてくれることの、その強さと勇気」に感謝した。
また、ボーイングが「この壊れた安全文化を終わらせるために」何をしているのかについても、明らかにするよう要求した。
これに対しカルフーンCEOは、「私は間違いなく、内部告発者の話を聞いた。そのことは保証する」と答えた。
一方で、自身が内部告発者と直接、話をしたことはなく、何人かの内部告発者に対してボーイングが報復措置を取ったことも認めた。
カルフーン氏は、「そういうことは起きている」としたうえで、安全問題について発言したために解雇されたり懲戒処分を受けたりした従業員が何人いるかはわからないと付け加えた。
公聴会中、カルフーン氏は立ち上がり、遺族に向き合い、謝罪の意を伝えた。
声を震わせながらカルフーン氏は、「悲しみに胸が張り裂けそうだ」、「私たちが与えてしまった悲しみに謝罪する」と述べた。
同じく公聴会に出席したチーフ・エンジニアのハワード・マケンジー氏は、ボーイングのエンジニアリングチームには「間違いなく」安全第一という文化が存在していたと証言した。
公聴会終了後、ブルーメンソール議員はBBCニュースに対し、カルフーンCEOの回答に満足していないと語り、調査は継続すると述べた。
「私にはまだ多くの疑問があり、調査は継続する」
米司法省は5月、ボーイングの慣行について刑事捜査を開始したと同社に通知した。
複数の遺族はこの日、同社が起訴されることを期待していると述べた。