開催費用の比較
万博とオリンピックの準備期間にかかる費用を比較します。比較対象は大阪万博と、東京2020オリンピックです。
大阪万博の開催費用
まずは2025年に開催予定の大阪万博の予算を表1にまとめました。経済産業省は下記のように記しています。
表1
※1経済産業省「大阪・関西万博に関連する国の費用について」を基に筆者が作成
上記以外にも誘致・登録にかかる費用として27億円程度かかると見込まれています。当初の建設費用は1250億でしたが、その総額は2350億円に上るといわれています。予想をはるかに上回る金額となっているのは、近年の物価高騰が原因の1つです。
オリンピックの開催費用
スポーツ庁は、東京2020オリンピックでの大会経費の総額が1兆4238億円だと公表しました。経費の内訳は、組織委員会が6404億円、東京都が5965億円、国が3641億円、独立行政法人日本スポーツ振興センターが1026億円です。
東京2020オリンピックでは、技術力の強化やセキュリティ対策、ドーピング対策に多くの経費をかけました。
開催後の利益
万博とオリンピックではそれぞれ開催するにも莫大な資金が必要なことが分かりました。では、開催後にはどのくらい利益が出るのでしょうか。詳しく解説します。
万博の開催後の利益
過去に日本で開催された万博は日本万国博覧会、沖縄国際海洋博覧会、国際科学技術博覧会、国際花と緑の博覧会、愛・地球博の5つです。今回は日本万国博覧会と愛・地球博の利益がどれくらい出たのかをまとめます。
表2
※参考資料を元に筆者作成
日本万国博覧会の利益は、未だ190億円ほどが残っているため、資金不足の大阪万博に向けて、切り崩しを検討しているそうです。
また、経済産業省は大阪万博の経済効果が2兆9000億円ほどだと公表しました。外国人観光客や建築物の増加、インフラ整備などで人々が利用しやすい街に繋がるためだと指摘しています。
オリンピック開催後の利益
東京都2020オリンピック・パラリンピック準備局の報告による、東京2020オリンピックの収入は以下の表3とおりです。
表3
※東京都オリンピック・パラリンピック準備局「組織委員会の収支及び大会経費の最終報告について」を基に筆者が作成
新型コロナウイルスの影響で、無観客や外国からの受け入れを禁止するなど開催にあたって大きな壁が生じました。大会経費予算は1兆6440円だったのに対し、最終報告では1兆4238億円でした。
景気によって利益に差がある
万博やオリンピックは、1970年の大阪万博のように大幅な黒字になることもあれば、新型コロナウイルスの流行や物価の上昇による予算の増加などで、赤字になることもあります。
しかし、現在は円安の影響などもあり外国人観光客が増えてきています。そのため2025年の大阪万博は、日本にもたらす経済効果に期待ができるといえるでしょう。
出典
経済産業省 大阪・関西万博に関連する国の費用について
スポーツ庁 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の大会経費
日本万国博覧会記念基金事業 万博記念基金事業とは
日本財団 めざせ! エコシティなごや Risa
東京都オリンピック・パラリンピック準備局 組織委員会の収支及び大会経費の最終報告について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー