孫の端午の節句祝う木堂の書 岡山の記念館で初公開

木堂の孫への思いが表れた二曲屛風仕立ての書

 犬養木堂記念館(岡山市北区川入)は、市出身の犬養毅元首相(号・木堂、1855~1932年)が、孫である多田正遠さん(故人)の端午の節句を祝おうとしたためた屛風(びょうぶ)仕立ての書を初公開している。24日まで。

 高さ約1.6メートル、幅約1メートルの二曲屛風に「嶄然(ざんぜん)として麟角(りんかく) 炳乎(へいこ)として鳳彩(ほうさい) 外孫多田正遠端午節此(これ)を以(もっ)て祝いと為す」と漢文で表記。「ひときわ珍しい麒麟(きりん)の角や光り輝く鳳凰(ほうおう)のように これを外孫多田正遠の端午節の祝いとする」との意味が込められている。

 同館によると、正遠さんが誕生した1929年から翌年にかけて制作された。麒麟や鳳凰は中国で善政の象徴とされ、希望に満ちた孫の将来を願う木堂の思いが表れているという。

 木堂にまつわる所蔵品約1万点のうち1点にスポットを当てた「一品展」で披露している。石川由希学芸員は「孫をかわいがる祖父としての木堂を感じ、親しみを持ってもらえれば」としている。

 午前9時~午後5時。無料。問い合わせは同館(086―292―1820)。

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