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日本時間6月19日、UEFA欧州選手権(ユーロ2024)では、グループFのポルトガル代表とチェコ代表が対戦した。試合はチェコが先制するまさかの展開となるも、後にポルトガルが2点を決めて2-1で勝利している。
39歳にして第一線で活躍し続け、ユーロ史上初となる6回目の最多出場を達成したポルトガル主将FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)は、フル出場で抜群の存在感を示して逆転勝利に貢献。詳しく分析する。
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まさかのビハインドで浮足立つポルトガル
ポルトガル対チェコ。激しい雨が降りしきる中での試合は、立ち上がりから両チームとも積極的に仕掛けあう。徐々に力の差がで始めてポルトガルがチェコを押し込む展開に。得点が入るのは時間の問題かという状況だ。
しかし、チェコが2選手を交代した直後の62分に試合は動く。左サイドからのクロスが中央で合わずに右サイドに流れ、もう一度中央に戻したところMFルカシュ・プロヴォド(スラヴィア・プラハ)がシュートを決めてチェコが先制。
ポルトガルの選手の顔がみるみる青ざめていく。それもそのはず、1点ビハインドになった時点でポルトガルは、ボールポゼッションはチェコの29%に対して71%、攻撃回数は8回に対して58回、シュート数は3本に対して14本と圧倒していたのだ。
サッカーとは時に残酷だ。これだけ一方的に攻めて先制されたポルトガルは、浮足立ちはじめる。攻め急ぐ選手たちにロベルト・マルティネス監督は、しきりにジェスチャーをして落ち着くように伝えるが、これまでの流れるような攻撃が鳴りを潜める。チェコが1点を守り切る姿勢を明確にして守備を固めているからだ。
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C・ロナウドがOG誘発で活性化
不穏な空気が漂う中、69分に右クロスをDFヌーノ・メンデス(PSG)が頭で折り返したところにロナウドが寄せて、GKが弾いたボールは、チェコDFロビン・フラナーチ(ヴィクトリア・プルゼニ)の足にあたってオウンゴール。1-1となった。
雰囲気が悪くなりかけたところでロナウドがOG誘発という仕事をした。ポルトガルはアドレナリンが出て、そこから動きが活性化される。到底、同点で納得できる試合ではない。
一方、チェコは選手交代で立て直しをはかり、試合終盤での勝ち越し弾を狙ってカウンターを繰り出す。81分にはチェコが右サイドからの攻撃でチャンスを掴み、連続するように2本シュートを放つもサヨナラ弾はならず。終盤10分間は両チームが1点を狙う、なんとも激しい展開だ。
87分にポルトガルは右クロスにロナウドが頭で合わせるとゴールポストに当たり、そこにFWディオゴ・ジョッタ(リバプール)が頭でつめてゴールネットを揺らす。しかしVARでロナウドがオフサイドの判定に。腕1本分、オフサイドラインを越えていた。
その後は両チームが最後の力を振り絞る。そして途中出場したポルトガル2選手のコンビネーションが炸裂。90+2分、FWペドロ・ネト(ウルブス)の左クロスがチェコ選手の股間を抜けてこぼれると、GKはぬかるみで足が滑って対応が遅れた。そこに走り込んだFWフランシスコ・コンセイソン(ポルト)が得点し、ユニフォームを脱ぐ喜びようでイエローカードを提示された。
間もなくポルトガルの2-1逆転勝利を告げるホイッスルが鳴ると、ロナウドはビッグスマイルで、まずはコンセイソンと抱擁を交わした。
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抜群の存在感、C・ロナウドの動き
2004年大会でデビューし、ユーロ史上初の6大会目の最多参加となるロナウド。チェコとの今試合では、フル出場してセンターフォワードのような動きに徹し、ポルトガルの1得点目を誘発した他、5本のシュートを打った。
最初の大きなチャンスは32分。中盤で味方がパスを繋いでいると、何気なくセンターバックのブラインドサイドにぐるっと入る。ディフェンダーがボールを見ている方向の反対側に「消える動き」だ。そして、全くマークされない状況でディフェンスラインの裏に抜け出してシュートした。GKがセーブするも大きな決定機だった。
直後の33分には、ポストプレーでボールを受けるとヒールでラストパスを出し、アシストかというシーンもつくった。前半終了間際には、中央でボールを受けると振り向いてミドルシュートもGKが弾いた。
ロナウドがボールから遠いブラインドサイドに動くシーンは多く見られた。そして、時に引いてきてポストプレーを行う。この試合のパス精度は驚愕の100%だった。
走行距離は9.31kmで平均的な距離より少し短いが、一つ一つのプレーの精度が格段に高い。以前ほど運動量はないがサボっているわけではなく、チームとして必要なポジショニングの動きはきっちりとこなしている。
走れないのではなく、あえて走らないようにしている。体力を温存することで、重要な瞬間にプレーの精度を高めようとしているのだ。FWだから、それはもちろん得点機のためだ。ここぞという時には、短くも鋭いスプリントを行っていた。
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プレーと体のコンディションまだまだ余裕
動きの質や鍛え上げたフィジカルは、走行距離を補って余りある。鍛え抜かれた身体は健在だ。体が大きな選手は動作が大味になりがちだが、ロナウドは肉体的な強さと体のコーディネーションをハイレベルで両立させている。
マンチェスター・ユナイテッドからサウジアラビアに移籍した際に、もう選手としての第一線を退いたと思ったファンもいるだろう。中東は、代表キャリアを引退した選手が行く「年金リーグ」と言われることもあるが、ロナウドには当てはまらない。
むしろ、欧州でサッカーをやり尽くして新たな挑戦をしているように映る。主要大会ユーロの試合に先発しているのに、年金生活者のわけがない。バリバリの現役である。
事実としてロナウドはサウジリーグで2023/2024シーズンに31試合出場35得点で同リーグの史上最高得点を更新した。ロナウドはサウジに移籍してからも練習の虫であり、選手として高いレベルを維持している。
39歳で代表の試合に先発している時点で驚くべきことだが、プレーと体のコンディションにまだまだ余裕を感じさせる。
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ペペがユーロ史上最年長出場
ところで上には上がいた。ポルトガル代表DFペペ(ポルト)はこの試合にセンターバックとして先発し、41歳113日でユーロの最年長出場記録を更新した。
これまでの記録は、ハンガリー代表GKガボル・キラーイの40歳86日だった。