北朝鮮兵数十人、軍事境界線を越える 韓国が警告射撃

韓国は18日、北朝鮮の兵士が同日、非武装地帯(DMZ)の軍事境界線を越えたと発表した。

韓国軍合同参謀本部(JCS)によると、北朝鮮兵20〜30人が軍事境界線を越え、韓国側に約20メートル入った。韓国軍が警告射撃をしたところ、北朝鮮兵らは引き返したという。

韓国は、意図的な侵犯行為ではなく、軍事境界線付近の防衛強化に当たっていた北朝鮮兵らが誤って越境したとみている。

北朝鮮兵による越境は、この2週間で2回目。韓国によると、今月9日にも北朝鮮兵らがつるはしなどの道具を持って韓国側へと越境した。この時も、韓国が警告射撃と拡声器による警告を実施すると、兵士らは引き返したという。

DMZの軍事境界線に柵などはなく、生い茂った草木で付近の標識は見えにくくなっている。

JCSによると、北朝鮮は4月以降、DMZに多くの兵士を送り込み、草木の除去や防衛設備の構築を進めているという。

韓国軍関係者らによると、DMZ周辺では北朝鮮兵らが建設作業中、地雷が爆発する事案が発生しており、多数の死傷者が出ている。北朝鮮は一帯で、古い監視所の復旧工事を1月に終えており、その後、新たな地雷を道路に仕掛けたという。

JCSは、「この作業は、脱北防止を含む、北朝鮮兵と住民の管理強化を目的としているようだ」とした。

南北の緊張高まる

DMZは東西258キロメートルにわたって続いており、朝鮮半島を南北に二分している。

北朝鮮からは昨年、196人が韓国に脱出したが、軍事境界線を越えた人はほぼ皆無だった。脱北者の大半は中国を経由して韓国へ向かう。

今回の越境は、北朝鮮がロシアのウラジーミル・プーチン大統領を24年ぶりに迎える準備を進めていたさなかに起きた。プーチン氏は19日未明、北朝鮮に到着した。

北朝鮮と韓国はここ数週間、緊張が高まっている。北朝鮮がごみを入れた風船を何百個も韓国に飛ばし、それを受けて韓国は北朝鮮に向けたプロパガンダ放送を再開している。

(英語記事 NK soldiers cross border prompting warning shots

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