片山晋呉が“34年ぶりのキャディ” 臼井麗香とタッグ結成「持っているものを引き出せたらうれしい」

片山晋呉(左)が臼井麗香のキャディをつとめる(撮影:上山敬太)

<アース・モンダミンカップ 事前情報◇19日◇カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)◇6688ヤード・パー72>

賞金総額3億円という高額大会に、臼井麗香は心強い“相棒”とともにやってきた。今週のキャディを、男子ツアーで通算31勝、永久シード保持者の片山晋呉が務める。練習場やラウンド中には元賞金王から細かいアドバイスも。それは臼井が「頭がパンクしてます(笑)」と言うほどだが、新たな発見も多く、刺激的な時間になっている。

もともと片山と臼井は3年ほど前から練習をともにしたり、臼井が悩みを相談するような間柄。今回の経緯について片山は、「優勝したらキャディをしてあげるね、っていう話をしていて、今年優勝したので。この週だけは空いていたからキャディをするよという話になった」と明かす。いわばタッグ結成は、臼井が3月の「アクサレディス」で挙げたツアー初勝利の“ご褒美”といえる。

現在51歳の片山がプロツアーでキャディを務めるのは、34年ぶりのこと。まだ茨城・水城高の3年生だった1990年の男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」で、ジャンボこと尾崎将司のバッグを担いだのが最後だ。

「フジサンケイジュニアで優勝して、『キャディをやらせて欲しい』ってお願いしたんだけど、今回は優勝したからお願いされて。あの時(のジャンボ)は2位だった。そのつなぎもまだ家にあるよ」。片山にとっては忘れられない思い出。「(三井住友VISAの時は)6キロも痩せた。緊張で夜、食べられなくて」。そこから多くの実績を積み、「あしたはちょっと緊張しそうだけど、楽しみ」という気持ちで今回は臨める。

開幕前日の水曜日はイン9ホールの練習ラウンドを回ったが、そこで臼井が驚いたアドバイスのひとつがアプローチのこと。グリーンエッジまで4ヤード、さらにそこからピンまで5ヤードという状況の花道から、片山はパターでの寄せを助言した。普段なら同じような状況で迷いなくウェッジを握る臼井には、驚きの選択だったという。

「あれだけアプローチがうまい晋呉さんが、『パターがいい』って言うんだから、パターの方がいいんですよね。ビックリしました。晋呉さんは全部ウェッジを使うと思っていたので」。これは、あくまでもひとつのシーン。新たなゴルフを吸収する一週間にもなりそうだ。

臼井は「ピンチになった時に頼りたい。心が折れちゃいそうになる時に。私と晋呉さんはプレースタイルが違うからこそ、いいアドバイスをもらえると思う」という部分に“心強さ”を感じている。一方の片山は、「スイングはコーチがいるし、しっかりしている。でも気持ちはコーチでは分からない部分もあるから、僕が分かるところをちょっとでも伝えられれば。一日に1回でも2回でも助けになれば。あとは持っているものを引き出せたらうれしい」と、自らの役目を心得ている。

先週は4位で最終日を迎えながら、最終日に「72」と伸ばせず優勝争いから脱落した臼井は、その時のことを「ショックが大きかった。悔しすぎて、ラウンド中に『嫌だー』って帰りたくなった」と振り返る。片山はこういう部分についても、「彼女は気持ちの強さがすごくいいけど、それが空回りする時がある。そういう時にうまく力を出させてあげれば」と承知済みだ。

25歳の黄金世代をツアー2勝目に導けるか。生涯獲得賞金22億円超え。賞金王にも5度輝いている百戦錬磨のベテランが、女子ツアーでも存在感を発揮することになる。(文・間宮輝憲)

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