「私って攻撃的かしら?」蓮舫氏と専門家語る「もの言う女性」批判の裏にある女性蔑視

「攻撃的」などの批判をうけてきた蓮舫氏

「まず、田崎史朗さんに関しては、そもそも私に直接取材もせず勝手にお話をされているようで、ジャーナリストなのかしら、と思います。

そのうえで、男性政治家がはっきりものを言っても“攻撃的”とか“きつい”“吠えている”などとは言われませんね。だけど、私や辻元清美さんなど、女性議員が国会で厳しく質問したり問題を指摘したりすると、そこだけ切り取られて“攻撃的”などとレッテル貼りされやすいと感じますね」

本誌の取材に対して、歯切れのよい口調でそう語るのは東京都知事選(6月20日告示/7月7日投開票)に出馬する参議院議員の蓮舫氏(54)だ。

<都民が蓮舫さんの“攻撃性”をどう判断するか。引いちゃう人もいるかも〉

5月27日、「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)に出演した政治ジャーナリストの田崎史郎氏は、蓮舫氏の都知事選立候補会見を受けてこう評した。

20年にわたる政治生活のなかで、常に“ズバズバ”と、言いたいことを言ってきた蓮舫氏。たびたび、その姿勢が批判の対象になってきた。

6月2日には「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演したお笑いコンビ「三四郎」の小宮浩信氏(40)も<蓮舫さんがすごい攻撃的でちょっと怖い>と発言している。

だが、ちょっと待ってほしい。今までも石原慎太郎元東京都知事(故人)や橋下徹元大阪府知事、松井一郎前府知事など、ズバズバとものを言い、時にはきつい言葉で敵対勢力やメディアさえも批判する首長はいた。だが、そうした姿勢は“歯に衣着せぬ”とか“〇〇節”などと、しばしその姿勢は“強さ”や“率直さ”の表れとして肯定的に捉えられてきた。

なぜ、はっきりものを言う女性政治家は“攻撃的”などのレッテルを貼られてしまうのだろうか。蓮舫氏はこう語る。

「ある程度の世代の方たちは、『女は3歩下がって』という文化の中で育ってきているから、たとえジェンダー平等と口では言っていても、自分の中で凝り固まって育ってきた固定観念というのはなかなか消えないんだと思います。

だから、こういうふうに次の世代であるとか、ものを言う女性が出てきた時にやっぱり古い評価基準、自分の育ってきた昭和の概念で喋ってしまっているというのを感じますね」

■主張し続けることで道を広げている

政治思想とフェミニズムが専門の同志社大学の岡野八代教授にも話を聞いてみた。

「本来、政治家ははっきりものを言わなければ、逆に批判されるはずです。にもかかわらず、女性の場合だけ“攻撃的”とか“吠える”などと形容する背景には、〈女性は政治にふさわしくない〉〈女性たちの主張は聞きたくない〉という“女性蔑視(ミソジニー)”の意識が強く含まれていると感じます」

メディアの責任も大きいと岡野教授は考えている。

「こうした報道を繰り返し聞かされる有権者は、〈あぁ、またやってるな〉と感じて、それこそ“うんざり”してしまうでしょう。

結果的に、二人の政治的立場や、これまでの実績から目をそらさせ、都民だけでなく日本の政治にとっても重要な都知事選そのものへの関心を削いでいるのではないでしょうか」

それは、結果的に投票率の低下につながってしまう。

「多くのメディアが第四の権力として、今の政治状況を市民に伝え、市民の判断、政治的な判断を助ける、助言する役割を放棄してしまっています。それは、逆説的ですが、非常に政治的な態度でもあります」

改めて、蓮舫氏に話を聞いた。これからも言うべきことははっきりと言い続ける姿勢は変えないと断言する。

「多くの若い女性から、『蓮舫ははっきりものを言ってくれている』と評価してくれる声もいただいています。だから多分、道を広げていっているんですよね。はっきりと意見を主張していくことで、『私も言ってもいいんだ』と、いい形で次の世代に伝えていければいいな。

若い方たちとお話していると、『自分もちゃんとはっきり言うようにしてます』とあたり前のように話されることがあって、私はそれをすごく嬉しく思うんです。

そもそも、1兆円レベルの行政改革の提案をしているわけですから、笑って優しくなんてできないですよね(笑)」

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