今年の中国「618」商戦、売上高初の減少 期間延長も財布の紐固く

Casey Hall Sophie Yu

[上海 19日 ロイター] - 中国で5月末から実施されていた大型ネット通販セール「618」は、売上高が今年初めて減少した。セール期間を延長したにもかかわらず、景気の先行き不透明感から消費者の財布のひもは固かった。19日公表の推計値で明らかになった。

618セールは、電子商取引大手JDドット・コム(京東商城)の創設日の6月18日にちなんで名付けられ、11月の「独身の日」セールに次ぐ大型ネット通販セールだ。

コンサルティング会社Syntunによると、618セール期間中の主要プラットフォームの流通取引総額(GMV)は、7428億元(1023億6000万ドル)となり、前年比7%の減少した。売上高はコロナ禍でも拡大を続け、2023年には8000億元近くに達していた。

今年は、JDドット・コムやアリババ系の天猫(Tmall)や淘宝(タオバオ)などのEC(電子商取引)大手が、先行販売をやめ、その代わりセール期間そのものを拡大した。アナリストは、これが盛り上がりを欠いた一因と指摘する。

コンサル会社Re─Hubが高級ブランドの値引き戦略を分析したところ、半数近くが平均値引き額を前年並みないし減額する一方、20%は値引きを拡大した。

JDドット・コムは19日、5月末から6月18日までのセール期間の売上高や受注が記録を更新したと述べた。具体的な伸び率は示さなかった。

<iPhoneも値引き>

アリババはセール中盤に、ハイアールやシャオミ(小米)などのブランドがけん引し家電製品などの部門が好調と説明していた。同社は19日、ナイキ 、ロレアル、ランコム、アディダスを含む国際ブランドの天猫での売上高が10億元(1億3782万ドル)を突破したと明らかにした。

米アップルは、ライバルの華為技術(ファーウェイ)に対抗し、天猫でiPhoneの一部モデルを最大2300元(318ドル)値引きして販売。アリババによると販売開始から数時間で2億元以上売り上げたという。

「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」を運営するPDDホールディングスは、618セールの販売データを開示していない。

今や中国消費者の間で値引きや低価格は当たり前になっており、ネット通販のプラットフォーマーが顧客を囲い込み、かつ維持するのは難しくなっている。

杭州の女子大生は「正直なところ、618にはあまり関心がない。この手のお祭りが盛り上がっていても、自分の財布にお金は残っていない」と述べた。今回の618で購入したのは、1200元以上から1000元(138ドル)に値下げされた、兄のためのゲーミングチェアだけという。

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