中国の若者の健康志向、消費の新たなエンジンに

中国の若者の健康志向、消費の新たなエンジンに

貴州省黔西(けんせい)市の眼鏡店で眼鏡を選ぶ学生。(2022年6月5日、黔西=新華社配信)

 【新華社北京6月19日】中国人の健康意識の高まりとともに、若者のライフスタイルにも健康消費が浸透しつつある。インプラントに注目が集まり、ドライアイスパが新風を巻き起こし、「眼鏡の複数本持ち」がトレンドとなっているように、ますます多くの若者が健康にお金をかけるようになっている。

 中国国家統計局のデータによると、2023年の国民1人当たりの医療・健康関連支出は、前年比16%増の2460元(1元=約22円)に上り、個人消費支出の9.2%を占めた。旺盛な健康消費の背景には、次々と現れる新たなニーズがある。

中国の若者の健康志向、消費の新たなエンジンに

貴州省安順市にある歯科医院で患者に口腔ケアの方法を説明する医師(右)。(3月19日、安順=新華社配信)

 中国の医療サービスプラットフォーム動脈網(VBDATA)が5月29日に生活関連サービスを手がける美団と共同で発表した「2023眼科・光学産業白書」によると、近視・遠視・乱視といった屈折異常は現在、中国人が眼科関連で抱えている主なトラブルの一つで、かすみ目や眼精疲労などの症状も上位にランクインしている。美団のデータによると、ドライアイの治療はプラットフォーム上で最も急増しているニーズで、今年に入ってから「ドライアイ治療」などのキーワード検索数は前年同期の約2.7倍に増加している。

 アイケアと眼の健康は、安定した消費ニーズのある分野として眼科業界の重要な成長分野となっている。眼の健康に関する消費者のニーズには、サービス利用の高頻度化、製品の多様化、品質の専門化といった特徴がある。美団プラットフォームでは20~35歳の消費者が全体の71%を占め、児童、青少年の視力検査、近視予防に関するニーズも同様に旺盛となっている。一方で「眼鏡の複数本持ち」「眼鏡のアクセサリー化」も顕著となり、多様化、個性化した消費者ニーズが浮き彫りになっている。

中国の若者の健康志向、消費の新たなエンジンに

 寧夏回族自治区銀川市で開幕した第1回寧夏枸杞(クコ)養生フェスティバルで、クコを主原料とする養生クリームや茶飲料などさまざまな商品を選ぶ若者。(2023年11月8日、銀川=新華社記者/劉海)

 眼の健康だけでなく、口腔ケアのニーズも高まっている。美団の調査によると、休日の口腔ケア需要は平日の約2倍に達し、多くの消費者が休みの間に「健康によって美しくなる」ことを求めている。美団プラットフォームでは今年、「休日スケーリング」関連の予約数が前年同期比50%増となり、「スケーリング1人用プラン」の検索数が約6.5倍に急増した。インプラントの人気も同様に高まり、美団での予約数は89%増となった。メタルセラミッククラウンの年間利用者数は60%以上増え、口腔ケアの中で最も急成長した分野となった。他にも、ホワイトニングやラミネートべニアも人気を集めている。

 推拿(すいな)科に若者が詰めかける現象もたびたびトレンドになり、中医(中国医学)の診察、薬膳、膏方(こうほう、中医薬材料を煮詰めたもの)、推拿など中医理学療法が若者の人気を集めている。病気と診断されるほどではないが体調不良を感じたとき、より多くの若者が積極的に中医に頼るようになっている。「夜遅くまでゲームをすることが多く、時々胸が痛くなるので、何度も中医に診てもらっている」と話す余(よ)さん(21)は友人の勧めから中医病院で養生を行っており、「中医治療は比較的穏やかに効くように思う」と語った。中医養生は現在、各種治療に活用されるだけでなく、関連する概念も若者の日常生活に溶け込んでいる。交流サイト(SNS)上では、多くのユーザーが自らの中医養生法を投稿している。若者ユーザーが多数を占める中国のSNSアプリ「小紅書(RED)」で「中医養生知識」を入力、検索すると、関連投稿が30万件以上ヒットする。

中国の若者の健康志向、消費の新たなエンジンに

針灸を施す湖南中国医薬大学第一付属医院鍼灸推拿(すいな)リハビリ科の鄧剣平(とう・けんへい)医師。(2023年3月8日、長沙=新華社記者/劉佑民)

 休みの日のスケーリングからドライアイスパ、中医養生まで、次々と現れる健康へのニーズが、消費拡大の「新たなエンジン」となっている。(記者/楊珏)

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