「疑わしいハーフスイング」ヘルナンデスの逆転3ランに敵地メディアがケチ。直後のロッキーズ右翼手の“ブチギレ”に賛同「彼は我々のすべてだ」

勝敗を分けた”疑惑のスイング”が物議を醸している。

現地6月18日、ロサンゼルス・ドジャースは敵地で行なわれたコロラド・ロッキーズ戦で11対9の逆転勝ちを収めた。5点ビハインドの9回表にジェイソン・ヘイワードの満塁弾、そしてテオスカー・ヘルナンデスの3ラン本塁打という2本のアーチが飛び出し、一挙7点を奪う猛攻で試合をひっくり返した会心の勝利の一方で、衝撃の敗北を喫したロッキーズ側から判定を巡り、怒りの声が上がっている。

勝利まで、あと1球だった。ロッキーズは9対4とリードして迎えた9回表、3番手タイラー・キンリーが1死満塁のピンチを招くと、ドジャースの代打ヘイワードに痛恨の4号満塁ホームランを打たれてしまい、わずか1点差に詰め寄られた。ベンチはたまらず、ビクトル・ボドニクを投入して逃げ切りを図るが、6回に20号ソロを放った大谷翔平が左安打で勢いをつなげる。

なおも2死一、二塁と一打逆転のピンチが続き、4番のヘルナンデスを迎える。右腕は2ストライクに追い込み、勝負の4球目は渾身の160キロを投じる。高めの直球にヘルナンデスのバットはスイングしたかと思われたが、一塁塁審のランス・バークスデール氏は両手を横にして「ノースイング」の判定を下した。この微妙なハーフスイングにロッキーズのバド・ブラック監督はベンチから飛び出し、怒りの声を上げて塁審を侮辱するようなジェスチャーをすると、退場処分を命じられた。

すると、その直後だ。ヘルナンデスが右翼スタンドに18号3ランを放り込み、ドジャースが土壇場で逆転に成功した。打球を見送ったロッキーズのジェーク・ケーブは、すぐさま一塁塁審の方に向かって指をさし大激怒。塁審に猛烈に詰め寄るほど、怒りは収まらなかった。
あと1アウトという状況で白星がスルリと逃げ落ちてしまったロッキーズには同情の声が寄せられている。米コロラド州デンバーの放送局『9NEWS』でスポーツキャスターを務めるスコッティ・ガンジ氏は、「ロッキーズ対ドジャース戦の9回表は大混乱だ」とため息を漏らしている。

同氏は自身のX(旧ツイッター)に「最後2ストライクまで追い込まれたテオスカー・ヘルナンデスは、疑わしいハーフスイングで塁審にセーフと判定された。ロッキーズのバド・ブラック監督は、これに異議を唱えて退場となった。ヘルナンデスは次のボールでホームランを放ち、ロサンゼルスにリードをもたらした」と一部始終を実況し、勝負を分けた“ノースイング”の判定に疑問を呈した。

また、地元メディアも疑惑の判定に怒り心頭だった。ロッキーズのあらゆる情報を配信している専門メディア『Blake Street Banter』は右翼ケーブが怒りを露にしたシーンをSNSに投稿。「ジェイク・ケーブは我々のすべてだ。彼はロッキーズの男」と、同選手が猛抗議した行動に賛同している。

試合後、ブラック監督は「(ヘルナンデスは)スイングだった。チェックスイングだったが、彼のバットは回っていたと思う」と語り、「すべての選手がケーブと同じように怒っていた。彼だけではない」とチーム全員も判定に納得がいかず、怒りは広がっていると強調している。

構成●THE DIGEST編集部

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