水陸両用「車いす」、透明なカヤック 障がい者も楽しめるマリン体験 すべての人が同じ目線に

これから暑い時期を迎え海での遊びも活発になります。
しかし、そんな海にこれまで入りたくても諦めていた人がいます。
障がいのある人と健常者がともに海遊びを楽しむイベントを取材しました。

今月16日、ビーチに並べられていたのはカヤックやSUP…だけでなく何やら見慣れない乗り物もあります。
この日行われたのは…。

【車いす女性】「すごーい…ドキドキ!」

障がいがある人と海遊びを繋ぐイベントです。

【ゼログラヴィティ・上岡央子さん】
「日本は海で囲まれているのに、それを知らないまま”もうできない”と諦めているのがもったいないなと思ったのがキッカケ」

今回は、全国各地で誰もが楽しめる海遊び環境を作るための活動をする団体と江田島市の団体が連携して開きました。

【東広島市から来た人】
「(業者から)『車いすは砂浜の砂でも海水が含まれているからおすすめしない、海で遊ぶのは』と言われて。海に来ることは元々諦めていたので、いろいろと楽しみたいなと…」

事前に海ごみなどを取り除いた砂浜に専用のマットを敷いて水際までバリアフリーに。
そして用意されたこの車いすは”水陸両用”で水に入ると浮かぶ構造です。

またこちらの小学生が体験したのは…。

「クリア・カヤック」。
見ての通り、”すべてが透明”で障がいなどで水の中に潜れない人でも海の中の世界を覗くことができます。

【体験した小学生】「楽しかった」

イベントには主に県内から15人の障がい者と健常者の合わせて42人が参加。

【東広島市から来た人】
Q新しい可能性?
「ですです!もしかしたら病みつきになるかなと…みなさんに助けてもらわないといけないが、これを車いすの人にもできたよと伝えたい」
Q希望になる?
「なります!」

またこの新しい乗り物には健常者も挑戦。
障がい者に優しいこの乗り物は、運動が苦手な人や小さな子どもも全ての人が平等に楽しむことができます。

【ゼログラヴィティ・上岡央子さん】
Q健常者と障がい者がともにイベントに参加することで、どういうことが生み出されればいい?
「水の上で遊ぶことが同じ目線になれるので、共生社会の疑似体験ですよね。お互いに気づきが生まれる。障がいのある方となかなか普段遊びでも接する機会がないが、こういうイベントで関わることで障がい者の方の特性、どういうことが不便なのか気づくことができる。同じ水準で楽しめるというのが今回テーマにあったが、共生社会、一緒の社会の中で一緒に楽しめるというのが、ここをキッカケに広がっていけばいい」

こうしたイベントはまだ少なく、今後は行政との連携も強化しより多くの人を巻き込んで豊かな街を実現していきたいということです。

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