便利な充電式電池 間違った捨て方をすると火災に!ごみ処理施設の被害額は4年間で111億円

電子タバコ、モバイルバッテリー、携帯用の扇風機、ワイヤレスイヤホンと、どれも便利なものばかりですが、すべて充電式電池が使われています。これらを捨てることになった時、どう処分すればよいのかご存じですか?

5月、大野市のごみ処理施設「ビュークリーンおくえつ」に集まった消防車両。火を消そうと放水している先には、収集されたゴミの山がありました。幸い1時間ほどで鎮火し、大きな被害は出ませんでした。原因は判明しなかったものの、リチウムイオン電池などの充電式電池が、ごみに混入していた可能性が高いと考えられています。

三重県名張市が行った実験映像では、リチウムイオン電池を使用しているモバイルバッテリーに衝撃を加えると、煙が噴き出して炎が上がり、激しく燃え始めるのが分かります。また、モバイルバッテリーの中のリチウムイオン電池を破損させると、勢いよく火花が飛び散っています。

このような充電式電池がごみに混ざり込み、処理施設に持ち込まれたらどうなるのでしょうか。製品評価技術基盤機構=NITEの実験映像では、不燃ごみを砕く機械に充電式電池を投入すると、大きな炎を上げて燃えているのが分かります。

大野市と勝山市のごみを処理する「ビュークリーンおくえつ」でも、燃やせないごみに充電式電池が混入する事案が急増。不燃ごみを砕く工程で発火した件数は、3年前が21件だったのに対し、2023年度は62件と3倍に増えています。週に1回以上は発火事故が起きているという現状に、施設でも頭を悩ませています。

大野・勝山地区広域行政事務組合の藤澤和朝事務局長は「『破砕機』にリチウムイオン電池などが入ると火が出る。そうするとセンサーが感知して水をかけて消すようになっているが、そのまま処理を続けるとまた火が出るので、1回1回機械を止めて、作業員が中を確認してリチウムイオン電池などを取り除くという作業を行っている」と話します。

5月の火災は、燃やせるごみの中で発火したため、施設の消火システムだけでは追い付かず、消防が出動する事態となりました。

奥越地区だけでも毎日大量に発生するごみ。取材した日も、収集車だけでなく、市民が直接、燃やせるごみや燃やせないごみを持ち込んでいました。待ち構えていたスタッフたちが、回収された燃やせないごみから、発火のおそれのあるものなどを手早く見つけ出していきました。

この日だけでも、スマートフォンにモバイルバッテリー、電気ひげそりなど、充電式電池が使われているもののほか、ガスの抜かれていないスプレー缶やライターなど危険な物も見つかりました。

藤澤和朝事務局長は「今年から人員を増やして、燃やせないごみを処理する前に危険なものが入っていないかをチェックする体制を整えて、ごみ処理のラインに入る前に抜き出している。各家庭で、充電式電池を使った小さな家電製品、たとえば電子タバコ、モバイルバッテリーなどがたくさん出回るようになってきて、その分ごみも多くなっているが、正しい捨て方を確認せずに燃やせないごみ、燃やせるごみに混ぜてしまっている」と頭を抱えます。

最近は、充電して使える便利な製品が増える一方、その処分について理解していない人も多いようです。また、自治体によって対応が異なるなど、複雑な制度も問題の背景にあると考えられます。

では、充電式電池はどのように捨てればいいのかというと、リサイクルマークのついたものは、法律に基づいて小型充電式電池のリサイクル活動を進める一般社団法人JBRCが扱う回収BOXに捨てるの決まりとなっています。

奥越地区では、ビュークリーンおくえつと勝山市役所にボックスを設けていますが、間違った捨て方が後を絶たないということです。また最近は、リサイクルマークがない海外製の充電式電池がかなり増えていて、そういった商品は購入した店に相談するか、お金を払って専門の業者に引き取ってもらうしかないということです。大野市の担当者は「商品を買う際は、その処分方法を確認した上で購入してほりい」と呼び掛けています。

充電式電池の間違った捨て方は、全国で問題になっています。最近は各地のごみ処理施設で大きな火災が発生し、NITEの調べでは2018年度からの4年間で、被害額は約111億円にのぼっているということです。

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