温暖化で外で遊べなくなった子供たち 幼稚園がとった策は30メートルの巨大な日よけ

本格的な夏に入る前に、各地で真夏日や猛暑日を記録している日本列島。

命を守るため、気象庁が発表する暑さ指数などを参考に外遊びを制限する幼稚園や保育園も少なくありません。

「命を守りたい」でも「外遊びはさせたい」安全と成長を両立することはできないのか。悩んだ幼稚園がとったのは4000万円かけてつくった「サンシェード」=巨大な日よけでした。

福岡県宗像市にある玄海ゆりの樹幼稚園。

6月11日、運動場に長さ25メートル、横幅30メートルある大型のサンシェードを設置しました。

強い日差しの中でも、子供たちに外遊びを楽しんでほしいという思いからです。

日差しが強くなった午後、保育士たちが赤色のサンシェードの端についた複数のひもを引いて走ると、とたんに運動場全体が日陰に変わりました。

日中の気温が31・9℃を記録したこの日も、子供たちが元気に遊んでいました。

RKB 下濱美有 記者
「サンシェードの下では子供たちが元気に遊んでいます。日向にいる時よりも体感としては、風が通るのですごく涼しく感じます。」

園児
「屋根がついてうれしい」「外では鬼ごっこする。あとトンボ探しとか」

「暑くないです。たまにはお茶も飲んでいます。汗とかはかいていません。だってこの大きい屋根があるから。」

玄海ゆりの樹幼稚園では去年、熱中症対策として外で遊ぶ時間などを制限していました。

しかし、外遊びは子供たちの成長に必要だと考え、大型サンシェードの設置を決めたということです。

玄海ゆりの樹幼稚園 高杉美稚子 教頭
「気象庁の危険指数の中で、外でなかなか遊べないという子供たちを考えた時に、このサンシェードがつくことによって、広い空間の中で子供たちがのびのびと自由にいつでも遊べる。とても良かったなと思っています。子供たちを見る先生たちも、この日差しの中では大変疲れますので、そういう意味では日差しを防ぐことによって職員も軽やかに保育ができています。」

元気よく外で遊ぶことが、時に幼い命を危険にさらすこともある最近の暑さ。巨大なサンシェードが子供たちの命と成長を守っています。一方、、課題は高額な費用。

この園のサンシェードは運動場の広さに合わせた特注で、かかった費用は約4000万円だということです。

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