「公選法の神様」に聞く!これって事前運動ですか?選挙ドットコムちゃんねるまとめ

YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」では、毎週選挙や政治に関連する情報を発信中です。

2024年6月18日に公開された動画のテーマは……公選法の神様に聞く「政治活動と選挙運動」。

日本の選挙のルールを定めた「公職選挙法」。選挙に関わる全ての人に関係する法律ですが、理解するには相当の勉強と経験が必要と言われています。

今回は、選挙管理アドバイザーの小島勇人氏をゲストに迎え、「政治活動と選挙運動の違い」、「ネット上での選挙運動の注意点」などをズバリ解説!約40年間に及ぶ川崎市選挙管理委員会での実務経験など選挙の実情に精通していることから、関係者の間では「選挙の神様」とも呼ばれる小島氏が公選法の意味・解釈や注意点などのギモンに答えます!

【このトピックのポイント】

  • まず、「政治活動」と「選挙運動」の違いを理解すべし!
  • ネット選挙での禁止事項。背景には金がかかる選挙の抑制
  • 思い込みはダメ!知らないうちに違反をしないためには?

事前運動ってなに?政治活動と選挙運動の違い

まず、公職選挙法(以下、公選法)を理解する上で基本となるのが「政治活動」と「選挙運動」の違いです。

政治活動というのは、政治に関する活動のうち選挙運動を除いた一切の行為であると言われていますが、注意すべきなのは、一般的な「政治活動」の範囲と「公選法上の政治活動」の範囲が異なる点です。

MC鈴木邦和「要は、政治活動というのが広くあって、その中に選挙運動っていうのが入るということですか?」

小島勇人氏「そうです。広い意味での政治活動は選挙運動も含んでいます。しかし、公職選挙法の政治活動というのは選挙運動にわたるものは含まれないという解釈です。ですから政治活動と言いつつ、選挙運動になっている行為であれば、それは全体も選挙運動となる可能性があります」

選挙運動の定義として、3つの要素があると言われています。

「選挙の三要素」

  • 特定の選挙(選挙が特定されること)
  • 候補者が特定されること(特定の候補者)
  • 得票の働きかけ

小島氏「三つの要件がマッチして、初めて選挙運動になるわけです。一つでも欠落したら選挙運動的要素はあるねっていう程度の話になるんですけど、他要素も加えると選挙運動になることもありうるため、現場でよく注意していただきたいです」

ここで、分かりやすく伝えるために、MC鈴木が都知事選への立候補を想定した具体例を2つ示し、小島氏に考え方を解説してもらいました。

  • 具体例1「今度の都知事選に私・鈴木邦和は挑戦しますので、皆さんの1票をお願いします」
  • ⇒「アウトですね」
  • 具体例2「今度の都知事選に、私・鈴木邦和は、挑戦します」
  • ⇒「グレーだと思います」

ここで話題にあがったのが、立候補の届け出が受理される前に選挙運動をする「事前運動」の問題です。公選法129条に抵触する違反行為ですが、小島氏は「事前運動かどうか、直接的な表現かどうかが大事なポイントになってきます」と指摘。公選法違反を取り締まる所轄警察によって、表現や発言した場面によって判断が分かれるといいます。

 ネット選挙の禁じ手とは?

解禁以来、普及しているネット上での選挙運動には禁止事項もあり、注意が必要です。

小島氏がまず触れたのが「挨拶を目的に有料インターネット広告を出すこと」です。有料広告を出す際は「挨拶を目的としない範囲」にとどめなければならず、基本的には政策宣伝や演説会の告知などであれば、挨拶目的には該当しないとされています

ただし、どのような内容であっても「選挙運動期間中」に、候補者が有料インターネット広告を出すことは禁止されており、昨年4月の東京・江東区長選では現職区長がこの違反によって辞職し、先日有罪が確定しました。

選挙運動用ビラやポスターなど公費負担となるものがある一方で、なぜネット広告は厳しく制限されているのでしょうか。

小島氏「有料インターネット広告はがやっぱ金がかかるしね。公選法の規定には根本的に、お金があろうとなかろうと一定の活動はできるようにするという考えがあります。金がかかる選挙を抑制するという趣旨です

思い込みはダメ!違反をしないためには?

公選法違反に注意すべきなのは有権者も同じです。

MC鈴木「最近だと、よくX(Twitter)上で特定の候補の政策や経歴を話題にする方はいらっしゃいますけど、これが虚偽だった場合、一般の有権者でも公選法違反の可能性があるということでしょうか」

小島氏「そうですね。まず落選目的での虚偽事項公表罪っていうことで公選法の規定があります」

小島氏によると、当選者が虚偽事項を公表していたことが反映して当選無効となったために、選挙をやり直したケースが過去にあったといいます。メディアとしてのインターネットの影響力が強まる中では利用する私たちにも注意が必要だと強調します。

最後に、MC鈴木が「知らないうちに公選法を違反しないためには何が大事ですか?」と尋ねると、小島氏は「選挙のコンプライアンスは学ばない限り身につかない」と即答。

ここで、小島氏は選挙の仕組みを野球の試合に例えて説明します。

  • 選手=候補者、運動員
  • 審判=取り締まり当局(所轄警察)
  • 解説者=選挙管理委員会
  • 観客=有権者

小島氏「これどうだろうな、大丈夫かなっていう感覚を持って、誰かに相談することが大切だと思います。これぐらい大丈夫だろうという勝手な思い込みはやめた方がいい

選挙現場で判断に迷った場合は地元の選挙管理委員会への問い合わせも有効です。ともに学び続けましょう!

動画本編はこちら!

公選法を違反しない・違反させないために理解すべきこととは?

選挙ドットコムちゃんねるは毎週火曜日から日曜日に公開!

ぜひ高評価とチャンネル登録をよろしくお願いいたします!

【政治家・候補者の写真は無料で掲載できます】
選挙ドットコムの政治家情報には顔写真などを無料で掲載することができます。有権者にとって候補者の写真は重要な情報ですので、掲載を希望される方はこちらのフォームよりお送りください。

政治家限定!
\選挙の最新情報をLINEで配信中/

友だち追加

© 選挙ドットコム株式会社