サードウェーブ、ゲーム開発向けなどBtoB領域に一層注力―現副社長の井田晶也氏を社長とする新体制を構築へ【記者会見レポート】

サードウェーブ、ゲーム開発向けなどBtoB領域に一層注力―現副社長の井田晶也氏を社長とする新体制を構築へ【記者会見レポート】
左から順に尾崎健介氏(現社長)、井田晶也氏(現副社長)

2024年6月19日、サードウェーブはメディア向けの記者発表を行い、同社の現取締役最高執行責任者(COO)副社長執行委員の井田晶也氏が8月1日付で取締役社長兼COOを務めると発表しました。現代表取締役社長の尾崎健介氏は、代表取締役会長兼CEOとなります。

尾崎氏は今回の人事の理由に関し、生成AIを筆頭とするAI需要が高まっていくなかでサードウェーブを今後も成長させるには、ハイエンドPC「GALLERIA」を筆頭とする従来のBtoC戦略だけではなくBtoBでも需要をより拡大させていく必要があると判断したと説明。IT市場を深く理解している井田氏による新体制を築き、これまで以上に世の中から必要とされる製品・サービスを展開していくとしました。

続いて登壇した井田氏は「Future Unleashed」というビジョンを掲げ、サーブウェーブを「日本を代表するPCメーカーに育てていく」と意気込みを語りました。

同社は2021年から3年続けて増収を達成しており、井田氏はその理由を「eスポーツなどへのビジネス展開の注力」や「GALLERIAがゲーミングPCとして大きなプレゼンスを形成できた」ことにあると分析。

GALLERIAは、弊誌GameBusiness.jpを運営するイードがユーザー満足度調査を実施する「ゲームPCアワード」でも3年連続で最優秀賞を受賞しています。

今後はパートナー企業であるマイクロソフトやインテルとの連携をさらに密にしつつ、従来のBtoC路線のみならずBtoBにも一層注力する方針を掲げました。BtoCで培ってきた「自由度の高い柔軟なカスタマイズ性」、「迅速な納品体制」などを活かし、ゲーム開発、CAD、映像クリエイトなどの分野を視野に各企業の高度なニーズに対応していく構えです。

なお、井田氏は2023年9月に行われた戦略発表会でも、日本のPC市場が「法人向け7割、一般消費者向け3割」と言われるなかで、PCパーツの小売りから歴史が始まった同社の売上比率はその正反対に近いことから、「法人需要はまだ掘り起こせる余地が十分にある」とコメントしていました。

法人市場における今後の展望としては、前述した「パートナービジネスの強化」や「コンシューマー市場で培ったノウハウを駆使したソリューションの提供」に加え、「業種・業態に特化した営業戦略」を打ち出すと発表。

一例として、日本市場では金融業界などでオンプレミスの需要がまだ根強く、サードウェーブが培ってきたきめ細かなサービスや製品づくりはそうした需要にも対応できると自信をのぞかせました。

また、サステナビリティにも一層着目しており、まだアイディアの段階であるとしながらも将来的には有料会員の一般消費者に向けた長期的な補修サービスなども検討しているとしました。

最後に井田氏は抱負として「今後3年間で法人売上2倍、総売上1,000億円」を達成したいとし、将来的には「日本を代表するPCメーカー」を目指すとコメント。そして、その暁には海外展開も視野に入ってくると語りました。

© 株式会社イード