古里の思い詰まった「民謡」を次世代に 民謡教室で楽しさ学ぶ子どもたちが地域に元気を届ける【秋田発】

秋田県には数多くの民謡があり、長く歌い継がれてきた。古里への思いが詰まった「秋田民謡」を次の世代に継承しようと活動している男鹿市の民謡教室を紹介する。

子どもたちが古里の唄を歌えるように

元気に歌う子どもたち。男鹿市の「男鹿子ども民謡教室」の練習風景だ。

指導するのは、日本民謡協会男鹿睦実会の伊藤善春さん。この日は、秋田大黒舞や生保内節など秋田の民謡を中心に稽古が行われた。

伊藤さんが教室を始めたきっかけは、「子どもたちが全国どこに行っても古里の唄を歌えるようにしてほしい」という地元の小学校の声があったからだ。

伊藤さんは、「子どもたちが民謡を大好きになってもらうことを一番大事にしている。民謡は古里の唄。全国に民謡があるが、古里への思いがいっぱい詰まったものが民謡の魅力」と語る。

学んだ民謡を披露し地域に元気を

2008年に民謡教室を立ち上げた伊藤さんは、民謡を楽しんでもらえるよう、子どもたちに寄り添った指導を心掛けている。

伊藤さんは「最初は恥ずかしがって口も開かない子どもたちが、だんだん口を開けたり、いろんな舞台を経験することで活力が出てくる。私たちも活力をもらいながら、一緒に勉強して歌っている」と語った。

教室に通う子どもたちは、月に2回練習を行っていて、民謡の県大会では優勝や準優勝の好成績を収めている。また、教室では、地元のお年寄りのために民謡を披露したり、練習の成果を見せる発表会を開いたりして、民謡で地域に元気を届けている。

伊藤さんは「子どもたちが行くと、おじいちゃん・おばあちゃんがすごく喜んでくれる。子どもたちも思いを受け取って握手したりしている。そういうものを続けていきたい」と語った。

男鹿子ども民謡教室に通う秋山友梨華さんも「聞いている人たちが楽しんでいるところを見たりするのが、楽しいしうれしい」と笑顔で話していた。

「大人になっても…」民謡を未来へ

教室は、多い時には13人の子どもたちが所属していたが、現在は3人。昔に比べて民謡になじみのない親が増えていることなどが背景にある。

伊藤さんは、「だんだん少なくなっている。一番望むことは、私たちがやっていたものを、子どもたちが大人になってもずっと続けてもらうこと。その土地になければならない民謡がある。続けていってほしい」と望んでいる。

子どもたちは民謡の楽しさを学び、思いは受け継がれていく。

男鹿子ども民謡教室に通う籾山心結さんは、「いろんな唄を歌えるようになりたい。そして、この教室をいろんな人に知ってもらいたい」と話し、古江ひなたさんも「いろんな人が楽しく聞いていられるように、民謡を届けたいと思う」と民謡への思いを語った。

これからも伊藤さんは、古里に伝わる民謡を未来へと伝えていく。

(秋田テレビ)

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