「隣家の木が邪魔で海が見えない」と除草剤を散布、被害が拡大し大規模訴訟へ

米メイン州で2022年、アパレルブランド「L.L.Bean」の故レオン・ゴーマン前社長の妻の自宅に異変が起きた。敷地内の木々が突如枯れ始めたのだ。

捜査によって、隣に別荘を所有するアメリア・ボンド氏が、毒性の強い除草剤テブチウロンをおよそ1.8リットル散布したことがわかった。動機は「自邸からの海が見える景色を妨げるから」という呆れたものだったとMail Onlineは報じている。

ボンド氏とその夫は、ゴーマン夫人に賠償金150万ドル(約2億3600万円)、メイン州の農薬規制委員会への違反金4500ドル(約71万円)、自治体の解決金18万ドル(約2800万円)を支払い、ようやく和解に漕ぎ着けた。しかし、事件から約2年が経ち、さらなる問題が持ち上がっていることがわかった。

NBC系列の地元局WHECによると、ボンド氏が撒いたテブチウロンの汚染が近隣の公園やビーチなど、敷地の外にまで広範囲に及んでいることが明らかになったという。現在、州当局が被害の実態を調査しており、住民が集団で訴訟に踏み切る可能性が出てきた。

「海のすぐそばの木に毒をまくような愚か者は起訴されるべきだと思いますね」と住民の一人、ポール・ホジソンさんはWHECに語る。テブチウロンは地中で分解されないため、そこにある限り植物を枯らし続けるそうだ。

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