“自分で選べない”選書ブックカフェ 会話を通じて本を提案

おしゃべりの後、本を選んでくれる書店がある。

東京・市ケ谷駅から徒歩5分ほどの場所に「Chapters bookstore」という書店がオープンした。

店内には、本棚などは一切なく、カウンター越しにしか本が置いていない。

この書店は、自分では本を選べず、対話を通じて本を出してもらう選書専門のブックカフェとなっている。

カウンター越しには、文庫本約60作品が並んでいる。

今の気持ちや好きな本のジャンルなど、直接話をして来店客に合う本を提案する。

Chapters bookstore 店主・森本萌乃さん:
いま、心の天気を晴天~土砂降りまでで表すと、どんな感じですか?

上中勇樹キャスター:
雲ひとつない晴天です。

店主・森本さん:
本当?そんな人なかなかいない。晴天ですか?

10分ほど会話をした後は、じっくりと棚から5冊を選書。
簡単なあらすじなども説明する。

店主・森本さん:
これはスペインを1人で歩くエッセイ。明るい太陽みたいな作品。面白いのが「Chapters」でお届けした後に、本当にスペインを聖地巡礼したお客さまが2人いる。だから人の人生を変えるエッセイなんだなって。

目の前で本を選んでくれるライブ感に、人からお勧めされる特別感を感じられる。

カフェだけの利用もできるが、毎月30人ほどが選書サービスを利用しており、感想を伝えに再び来店する人も多いという。

店主・森本さん:
本はご自身で(他の書店で)買ってもいいと購入は促さないが、ほとんどの人が全部買っていく。だから本を“読まない”のではなく、“選べない”んだなと。

LINEを活用した無料の選書サービスなど、オンラインでの選書に力を入れる中でオープンしたリアルの場。

毎月3回ほどイベントも開催し、本や人との新たな出会いを創出する地域に根づいたコミュニティー型店舗を目指している。

店主・森本さん:
ここ何だろうと思って入ってきてもらい、“本、全然読まない”という会話から始められる本屋。書店は本好きのための本屋の機能と、本の裾野を広げていく役割と二極化している。かけがえのない本に出会ってもらう体験を、お手伝いできたらというのが課題というか目標。出版・書店業界の新しい打ち手の1つとして、ここが良い事例になれば良いなと末端ながら思う。

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