焼け跡から珠洲焼発見 傷無く「奇跡、家宝に」 輪島・集古堂 

焼け跡から見つかった珠洲焼を見る宮崎さん=輪島市平成町

 能登半島地震に伴う輪島朝市周辺の大規模火災で店舗が焼失した輪島市河井町の古美術店「集古堂」の焼け跡から17日までに、珠洲焼のつぼが見つかった。他の展示品は割れたり、焼けてしまったりしたが、珠洲焼はほとんど無傷だった。店主の宮崎高志さん(82)は「奇跡のつぼだ。家宝にしたい」と喜んでいる。

 つぼは高さ35センチほどで、洗練された形や趣のある焼き上がりが特徴。宮崎さんの見立てによると、鎌倉時代に制作されたとみられる。20年以上前、珠洲市内の旧家で譲り受け、店内で展示していた。

 地震に伴う火災で朝市通りに面した木造2階建ての店舗は全焼した。店内には輪島塗や九谷焼などを含めて約5千点が並べられていたが、火災後に宮崎さんが現場を訪れても、近隣のビルのがれきなどが崩れた状態で、美術品は見つからなかった。

 15日、店舗跡の公費解体で重機ががれきを片付けた後、宮崎さんが敷地を確認すると、珠洲焼が掘り出されていた。宮崎さんは「地震と猛火の中、よく頑張って残ってくれた」と話した。

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