【ライトノベル最新動向】「SAO」「とある」「ブギーポップ」「魔法科」……電撃文庫が月間ランキングを席巻

川原礫の「ソードアート・オンライン」シリーズに鎌池和馬の「とある」シリーズ、上遠野浩平の「ブギーポップ」シリーズ、そして佐島勤「魔法科」シリーズと、電撃文庫の人気シリーズ最新作がRakutenブックスのライトノベル週間ランキング(6月10日~16日)に並んだ。

1位の『ソードアート・オンライン28 ユナイタル・リングVII』(電撃文庫)は、仮想世界の「アンダーワールド」を舞台にした壮絶なバトルが繰り広げられて、前巻から1年8ヶ月ぶりとなる新展開を待ち望んでいたファンをワクワクさせてくれる。現実世界ではアスナに驚きの出会いがって、「SAO」というシリーズがアプリゲームや映画も含めて重厚なものになっていることを感じさせる。

「とある」シリーズからは、3位にまず『とある魔術の禁書目録外伝 エース御坂美琴 対 クイーン食蜂操祈!!』(電撃文庫)がランクイン。いずれも名門・常盤台中学のお嬢さまにしてかたや学園都市第三位の『超電磁砲(レールガン))』こと御坂美琴、こなた学園都市第五位にして『心理掌握(メンタルアウト)』の食蜂操析というレベル5の超能力者が本気でぶつかり合う展開は、とんでもないことが起こるといった期待を読む前から抱かせる。実際にバトルは学園都市を出て異世界へ。ただでさえ荒唐無稽な鎌池ワールドがよりスケールアップして読者も登場人物たちも翻弄する。

9位に入った『とある暗部の少女共棲(アイテム)3』(電撃文庫)の方は、学園都市の暗部と呼ばれる一種の裏社会で活動する麦野沈利、絹旗最愛、滝壺理后、フレンダ=セイヴェルンの4人による「アイテム」が主人公となったシリーズの最新作。日の当たらない場所を歩む少女たちのストーリーだけあって、ヒリヒリとした登場人物たちの日々を今回も存分に味わえる。「アイテム」の4人の結束ぶりがうかがえるだけに、本編でのフレンダが迎える運命が改めて気になってしまう。

10位の佐島勤『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー8』(電撃文庫)は、高校生から大学生になって「メイジアン・カンパニー」を立ち上げた司波達也が、サンフランシスコで発生していた大暴動の原因を探り、状況を沈静化するためにUSNAへと飛んで活躍するストーリーや、富士の裾野に眠る古代遺跡の解明に挑み、邪魔してくる勢力を仲間達と撃退するストーリーを楽しめる。第3期が放送中のテレビアニメ『魔法科高校の劣等生』でも繰り出される"お兄様"の最強ぶりは、大学生になってますますエスカレートしているようだ。

2位は甘岸久弥『魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~10』(MFブックス)。数々の魔道具開発の功績を認められ、男爵位が与えられることになったダリヤのお披露目パーティーに参加してくれることが決まっていたヴォルフが、魔物討伐に狩り出されてその岐路で想定外の事態に陥る。TVアニメが7月からスタートする人気シリーズの最新刊。アニメ化を機に最初から読み始めてみるのも良さそうだ。

4位は日向夏『薬屋のひとりごと15』(ヒーロー文庫)。発売から3ヶ月が経つが、相変わらず高い人気を維持していている。評判になったTVアニメの第2期スタートを待ち望む人も多そうだ。第5位も3月末までTVアニメの第3期が放送されていた衣笠彰梧によるシリーズ最新作『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編12』(MF文庫J)。1年生の最終学期が描かれたTVアニメより1年ほど時間は進んでいて、2年生の3学期最後の試験に挑む綾小路清隆やクラスメートの姿が描かれる。どのような成績で最終学年を迎えるか。気になる1冊だ。

6位はKis-My-Ft2の宮田俊哉が初めて書いた小説に、ドラマCDがついた『【ドラマCD付き特装版】境界のメロディ』(メディアワークス文庫)。3年前に交通事故で死んでしまった音楽仲間が復活して、音楽に触れることができなくなっていた相棒や、喪失感を抱いていた知人たちをひとりひとり癒やしていくとストーリー。悲しみを乗り越えて前に進む勇気を与えてくれる青春ファンタジーだ。

7位は白鳥士郎による将棋ライトノベルの最新刊『りゅうおうのおしごと!19』(GA文庫)。男性しかいなかったプロ棋士に初めてなった姉弟子の空銀子は休場を続けていて、直弟子のひとりの雛鶴あいは拠点を関西から関東に移して孤独な戦いを続けている。そんな状況の中で主人公の九頭竜八一は、スーパーコンピュータが導き出した将棋のある種の完成形を打ち砕き、人間の手に将棋を取り戻そうとして足掻き続ける。盤上で駒を動かすだけのクールな勝負に見えて、精神も肉体も激しくぶつかり合う将棋の面白さに触れられるシリーズだ。

8位の『ブギーポップ・バズルド 最強は堕落と矛盾を嗤う』(電撃文庫)は1998年の初登場から26年が経つシリーズの最新刊。いつもは事件の渦中が終わり頃に自動的に現れるブギーポップが冒頭から登場して、空が裂けるような戦いを見守るシーンから始まるストーリーは、シリーズでも最強と言われるフォルテッシモをめぐって様々な思惑が交錯する。スタイリッシュな異能バトルをクールな文体で綴って引き込むシリーズの、より研ぎ澄まされた最先端を確かめよう。

11位以下では、11位のしきみ彰『後宮妃の管理人 九 ~寵臣夫婦が導く先へ~』(富士見)L文庫)が好位置にあって支持の高さを見せている。商家の娘から後宮妃の管理人となった優蘭が直面する困難を乗り越えていくシリーズの最新刊で、夫の珀皓月を含む黎暉大国の外交使節団が巻き込まれた謀略を、どのように打ち砕くかに注目が集まる。

8月20日発売の山口悟『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…14』(一迅社文庫アイリス)は、「悪役令嬢もの」というカテゴリーを切り開いたシリーズの最新作だけあって発売前から18位に登場。学園を出て魔法省で働き始めても続くカタリナの破滅フラグに挑み続ける日々。いつになったら平穏が訪れるのかを確かめるためにも、読み続けるしかなさそうだ。

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