ジャッキー・チェン自身が選ぶ出演作ベスト3!来日インタビュー【後編】「『酔拳』がアクションの流れを変えた」最新作『ライド・オン』絶賛公開中

ジャッキー・チェン『ライド・オン』インタビュー

ジャッキーの「お気に入り出演作ベスト3」は?

あのジャッキー・チェンが、主演最新作『ライド・オン』絶賛公開中の日本に約13年ぶりに上陸! 都内3会場で行われた緊急舞台挨拶の合間を縫って応えてくれた、緊急インタビューの後編をお送りする。

前編ではインタビュアーの小林麗菜に、「未完成の脚本を見せたラリー・ヤン監督を門前払い、しかし感動ドラマ爆盛りの第2稿を読んでその場で号泣、からの出演快諾!」という、アニバーサリーイヤーを飾る集大成作にふさわしいドラマチックな制作秘話を明かしたジャッキー。

そしてインタビュー後編では意外な<日本製>の貢献と、誰もが気になるであろう<お気に入りの出演作ベスト3>&その理由まで教えてくれた。

※インタビュー前編は👇️👇️👇️


「日本製のビデオのおかげでキートンやチャップリンの映画を観ることができた」

――ジャッキーのアクションは激しいだけでなく、随所にユーモアを挟み込んでくるところにも大きな魅力がある。「交互に酒瓶キャッチ」や「リアルはしご外し」など、息をつく暇もない“カンフー・バトルもの”でありながら子どもでも楽しく観られる、あのアクロバティックなムーブの源とは?

小林麗菜:『ライド・オン』はスタントマンへのリスペクトにあふれていますが、ジャッキーさんの作品からはバスター・キートンやハロルド・ロイド、チャールズ・チャップリンへのリスペクトも強く感じます。彼らへの敬意を作品に込める理由を教えてもらえますか?

ジャッキー:まずは日本の先進的な技術に感謝しなければいけません。当時は日本製のビデオのおかげで、キートンやチャップリンの映画を買って観ることができたんです。彼らから具体的に何を学んだかはわからないけれど、間違いなく得たものはたくさんありますね。

「『酔拳』はアクション映画の流れを完全に変えてしまった」

――“ジャッキー映画”は計100作品を超えるが、当然ながらファンそれぞれに思い入れがあり、世代等によって人気が分かれるところ。アクション映画のレジェンドが選んだ<ベスト3>は、一体どの作品なのか?

ジャッキー:[日本語で]うーん、とても難しいね!(笑)。映画の世界に入って、今年で63年目なんです。たくさんの映画に出てきましたが……『ミラクル/奇蹟』(1989年)、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985年)、『酔拳2』(1994年)。他にもたくさんありますが、この3作は全世界のみなさんがよく選んでくれるんですよ。

『ドランク・モンキー/酔拳』はある意味、アクション映画の流れを完全に変えてしまった作品なんです。その時代の映画は“とにかくブルース・リー”で、なんでもかんでもブルースのスタイルでした。当時は僕も「ブルース・リーの真似ですよね?」とよく言われましたが、僕の答えは「ブルース・リーはオンリーワン」というものです。

「自分なりの“道”を切り拓いて歩けば、違う景色が見える」

ジャッキー:ブルースのカンフーは非常に力強いんですよね。僕らは、それを変えようとした。それで『酔拳』が生まれたんです。そしてこの作品が成功したら、みんなが「ドランク・ネコ」「ドランク・イヌ」「ドランク・ネズミ」なんかを撮るようになって(笑)。じゃあ、どうしたらそれらと一線を画すことができるのか? それで生まれたのが『ポリス・ストーリー』。この作品で、またアクション映画の流れを変えてしまったわけなんです。

その次に『プロジェクトA』(1983年)で流れが変わり、『ポリス・ストーリー』を真似したような映画もたくさん出てきましたが、そこで『ミラクル』が生まれます。他と違う作品を作るためには、自分自身が努力してどんどん開拓しなければいけません。つまり<道>は人間が歩んでできたもので、それに沿って歩くのは確かに楽でしょう。でも自分なりの道を切り拓いて歩くことで、また違った景色が見えるんです。

たとえば『酔拳』は、誰もが作れるもの。でも『ポリス・ストーリー』は命がけでしたから、真似できるものではありません。そして『ミラクル』は、実はあるワンカットのために2日間にわたって撮影しました。今ではとても簡単に撮れてしまうようなシーンなんですけれどね。

――ひさしぶりの来日ということもあったのか、“1聞けば10答えてくれる”ジャッキーに感激&感謝! ユーモアを交えつつ製作者目線での70~80年代の主演作解説など、カンフー映画ファンでなくとも学びの多い内容となった。

インタビュー後も、小林麗菜の「一緒にお写真を……」というリクエストに対し被せ気味に「ダーメ!」と返して笑いを取ったうえで、「1枚撮るだけじゃダメ、ってことですよ」とハイレベルなツンデレ作法まで披露。さらに小林に『酔拳』の型をレクチャーするなど、大盤振る舞いにもほどがあるインタビューとなった。ジャッキー、谢谢再见!!

『ライド・オン』は全国の劇場で公開中

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