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【シニアのためのマネー講座】#99
「ゴメン、お小遣い足りないんだ。1万円貸して」
何年たっても、いつもの光景。今月もウチの大蔵省に直談判だ。最近は物価高騰が著しい。少ないお小遣いでは、そう、もうやってはいられない……。シニアのお父さんたちの嘆き節が聞こえてきそうな今日この頃である。
もう、メンドクセー、国が大盤振る舞いして、お金をバラまけばいいんだ。最近では「日本は絶対に財政破綻しない」というじゃないか。だったら、何でもできるはずだ! そんな声も聞こえてきそうである。
だが、考えてほしい。本当に日本は財政破綻しないのか。何をやっても大丈夫なのか。
現在、国が背負っている借金(国債)は約1200兆円。国内総生産(GDP)の2倍を超えており、先進国のなかでは断トツに多い。それでも、さらに借金を膨らませて、国民にバラまけというのか。
そもそも、その国債を買っているのは誰なのか。一番多いのは日銀44%、2番目は保険や年金20%、3番目は銀行14%、そして海外は13%である。そのほとんどが国内で消化されており、これが「財政破綻しない理由」のひとつとされている。
でも、よく考えてほしい。その“裏側”には何があるのか。
日銀はともかくとして、保険や年金は、われわれがこれまで積み立ててきたもの、銀行はわれわれの預金である。つまり、国民の財産をバックに国債を買っているのである。
だから、どうしても「お金が返せません」となったら、これらの積み立てた保険、年金、預金を差し押さえればよい。
「ん? 結局、国民が払うの?」
そうである。イザとなれば、「預金封鎖」の名のもとに、国が「超法規的な措置」を講じればよい。これが「財政破綻しない“裏”の理由」でもある。
なので、お小遣いが足りないからといって、決してずうずうしい態度をとってはいけない。間違っても「3万円貸して」なんて、言っちゃいけないのだ。
そんなことを言えば、間違いなく大蔵省、いや財務省の逆鱗に触れるだろう。家庭には厳しい掟がある。そうやすやすと大盤振る舞いできないのだ。場合によっては、外出したときに鍵をかけられ、「家庭封鎖」をされる恐れもあるだろう。
もちろん、家の裏側の出入り口も“封鎖”となる。
(黒岩泰/株式アナリスト)