『Believe』狩山の真の味方は誰なのか? 木村拓哉が仲間たちを“信じて待つ”最終回に

木村拓哉主演のテレビ朝日系ドラマ『Believe-君にかける橋-』がついに最終話を迎える。最終話を前に狩山(木村拓哉)が逮捕される展開となり、これまでとは異なり、狩山は味方を“信じて待つ”ことになりそうだが、未だに誰が真の味方なのか謎は残る。最終話がどんな展開になるのか考察してみたい。

最終話の焦点は、やはり都知事の榛名(賀来千香子)と「帝和建設」社長の磯田(小日向文世)が龍神大橋崩落事故を計画した思惑。これまで事故に関して口裏を合わせてきた官僚時代の後輩でもある榛名に、土下座をしてまで工事再開を請け負うことを懇願をする磯田が、崩壊を計画した動機は何か。

関連がありそうなのは、社長室で役員たちと磯田が今後について話したときに、桑原常務(岩谷健司)に「社長は企業の再建に手腕を発揮してきた人。でも所詮は官僚出身、我々土建屋の気持ちなど」と嫌味を言われていたこと。天下りなのか、とにかく外部から来た人なので旧経営陣と溝がありそうだ。桑原はライバルのゼネコンや榛名のスパイで、会社を売り渡す為に、磯田の知らないところで、資金繰りで苦労していた「若進建材」の若松博通(竹内涼真)に金を渡し、事故を故意に起こさせた可能性が考えられる。意図的に崩落させたことは資料を確認するまで磯田は知らなかったが、帝和建設がやらかしたのは間違いないので、ベトナムのメコン川横断橋プロジェクトが控えているだけに磯田は隠蔽に動いたのだろうか。

とはいえ、本作の公式サイトの最終話あらすじは「一方、崩落“事故”を計画した『帝和建設』の社長・磯田典孝」と断言している。そうなると、例えば、帝和建設が進めている社運をかけたベトナム事業の資金繰りがままならない状況に陥り、おいしい条件と引き換えに橋を崩壊させた矢先、榛名に手のひらを返されたのだろうか。

どんな利権が絡もうと、都知事としては120億円事業の橋を崩壊させることはマイナスでしかない。強いて考えられるのは、黒鉄島開発プロジェクトに関して、当初の予定は2024年3月に橋が完成し、5月にビジネスパーク完成などの予定が記されていたが、開発の遅れの言い訳、あわよくば開発を白紙に戻すため、先輩の磯田に頼み込んで帝和建設に犠牲となってもらったという線。

ただ橋の再建に関して他社のゼネコン社長を交えて一席設けていて、榛名と親密な他社のゼネコンに仕事を回すよう計画を企てたとも考えられるが、単純に自分のキャリアに泥を塗る建設会社を切りたいだけともとれる。榛名に狩山が暴露すると連絡した際に、「私は狩山の人選ミスを認めて、打開策をご提案しています」と言う磯田に、榛名は「狩山は最高の人材でした」と返した。おそらく崩落計画は、狩山が設計変更を行ったタイミングで計画されたもので標的にはもってこい。榛名が刑務官の林(上川隆也)を通して刑務所の狩山を逃亡させたのは、帝和建設のイメージダウンをさせ、切り捨てるため。おそらくそのことを磯田は知らず、データの隠蔽のことだけで共闘していたと考えられる。

さて第7話では、14年前に冤罪を訴える受刑者のことで林が再審の手続きについて当時の副法政大臣の榛名に接触していたことが明らかになった。しかし、何もできなかった林に受刑者は逆恨みし、出所後に林の家に放火し、林は妻と隣家の主婦を亡くすことに。SNS上で話題なのが、隣の亡くなった主婦が秋澤の妻か母親で、彼の汗っかきな性質やハンカチを口に当てる仕草はその時のトラウマからきてるという説。もし、冤罪の再審を榛名が不正に止めていたとするなら榛名を恨むはず。極論を言うと、『アンチヒーロー』(TBS系)のように、榛名の不正を世間に曝すために、近場でコツコツと証拠を集めタイミングを見計らっていたのなら関係性が繋がってくる。秋澤に関しては、もし崩落事件に最初から関与していたら、桑原と繋がっている南雲(一ノ瀬颯)とSSDを争い階段から転げ落ちたり、南雲と他人行儀に真実を聞き出したりしない気がするので“あちら側”の人間ではなく、最後まで狩山の味方として動いていると考えられる。

また、刑事の黒木(竹内涼真)が追っている半田工務店の社長・半田豊(田中哲司)の娘・弥生(阿部紗英)が殺害された「永代町女子大生殺人事件」だが、第8話で警察のホワイトボードに、「被害者の元交際相手の三島和也、大学時代の2年先輩の銀行員」「突発的な暴力の可能性」などと書かれていた。もし龍神大橋事件に繋がるとするなら、若松の2000万円の振込口座は「實友銀行」だったが、銀行員という立場で黒鉄島開発に何らかの形で関わっており、そうした裏金に関与していたのではないか。弥生は父の影響で建築士を目指していて、黒鉄島開発に興味を持ち、その中で元彼の不正を見つけて咎め、それにカッとなった三島に殺害されたと予想できる。このルートから黒木が金の流れを掴み、SSDの証拠がなくても狩山裁判が有利になることは明白だ。

最終話の予告では裁判シーンがあるが、まさに『アンチヒーロー』のごとく、自分が被告の裁判の中で真実を明らかにしていくパターンだろう。とは言え狩山は既に捕まり、真実を語る人物が現れるのを待つしかない立場。そもそも、判決が出て刑期が決まった脱獄犯に再審が許されるのかという問題がある。ただ前回、自宅で妻・玲子(天海祐希)と再会を果たした時に警察は「監禁罪」として逮捕した。まずこれが裁判をする理由になる。またこの時に、捜査一課の白石管理官(前川泰之)に「龍神大橋は落ちたんじゃない、落とされたんだ。 磯田社長によって」と真実を聞かせたことで、裁判では監禁事件を犯した動機について語られるはず。これは黒木のアドバイスにより、次の一手として警察に真実を聞かせるために計画したものだろう。

弁護士を解任したとはいえ、もちろん秋澤も真実を語るだろう。狩山を裏切ったことへ罪を感じている部下の南雲も証言しそうだが、土壇場で心が折れそうだし、南雲は将来のある男として狩山が止めるかも知れない。そこで、事の一部始終を聞き、またSSDのコピーを持っていそうな南雲の恋人・本宮(山本舞香)が代わりに証言するか、もしくは、玲子に電話で真実を託した可能性もある。何度も意味ありげに映し出されている碓氷峠の写真の額縁に証拠となるSSDが隠されていたり、もしくはパスワードが碓氷峠関係で、それが決め手となる展開もありそうだ。

そして、狩山の有罪が決定的となった、坂東社長(北大路欣也)の「設計変更が原因だった」という証言だが、口止めの裏金を貰い、ゼネコンに楯突くことは50年続いた会社を潰すことになるので真実を話す気はないだろうが、全てを把握している坂東の息子(小栗基裕/s**t kingz)が会社のことはもういいからと説得したら、最後は坂東が証言をひっくり返す展開も考えられる。

とにかく、最後は狩山が仲間たちをBelieveする展開になるのは間違いないだろう。そして磯田が狩山に「私を信じてくれ」と言ったBelieveを果たす展開となってほしいところ。無罪か刑期を終えた狩山が、独房で一緒だった野口(濱田龍臣)や灰谷(一ノ瀬ワタル)と一緒に半田工務店で仕事をして、理想の家を作る人になった姿が見たいが、果たしてどんな最終話を迎えるのか。
(文=本 手)

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