グリーン奥からのアプローチ SWよりもUTを持った方がいい状況がある!【上手い人の頭の中】

左足下がりのライは球が上がりづらくてダフリ・トップのミスが出やすいし、奥からはグリーンが下っていて止まりづらい。かなり難しい場面だが、こういうときこそ”空中戦”ではなく”地上戦”が攻略のカギとなる

グリーン奥の左足下がりの傾斜にボールが止まり、グリーンが砲台状で奥から下っているとします。そのアプローチで、打球をグリーンへ直接落としたら下り傾斜で止まらず花道までコロがり落ちますし、トップをしたらグリーンをはるかにオーバーする。それを恐れて緩んでダフったらボールは“谷底”へ落ちることもあります。

ここで多くのアマチュアがイメージするのは、グリーン手前の上り斜面に1クッションさせて、打球の勢いを殺してグリーンに止めることでしょう。しかし、その“1クッション作戦”ではグリーンに乗らないことも。ナゼなら、受けている斜面に対して直角に近い大きな角度でボールが当たると、ライが硬ければ跳ね返されて“谷底”へ落ちてしまうし、ラフが深ければ芝の抵抗が大きくて前へ行かないから。しかも、そういうミスの経験がある人ほど「斜面により強く当てなきゃ」と思いがちですが、“壁”にキツい角度で勢いよくボールをぶつけるほどその傾向は強まります。ましてや、強く打ってクッションをしなかったら大オーバーになります。

こういうトラブルでは発想を変えて“2クッション作戦”にすると、思いのほかやさしくグリーンに止められます。2クッション目で打球を手前の上り斜面へ小さい角度で緩やかに当てれば、跳ね返されずに芝の抵抗を抑えられるので、ボールは斜面を駆け上がりやすくなります。そのように上り斜面への入射角度を浅くするには、最も凹んだ“谷底”よりも手前の下り傾斜で、まずは“いっちょ噛み”(1クッション目)させること。

1クッション目で下り傾斜にボールを当てるには、低く打ち出さなければなりません。ということは選ぶ番手はウェッジではなく、ロフトがもっと立ったPWや9I、場合によっては5IやUTも選択肢に入ります。ピンがどこに切られていても、この状況ではグリーンの真ん中くらいに止まれば御の字です。そのエリアに球が止まれば、ピンがグリーン奥なら上りの、グリーン手前寄りなら下りのパットが残ります。そこから2パットで上がれば、大ピンチからの「ナイスボギー!」ということになりますね。

■和田泰朗
わだ・ひろあき/1976年5月10日生まれ、宮城県出身。大学で動作解析や運動生理を学んだ。その後、世界的なゴルフ指導者組織のUSGTFで最高レベルのコーチとなり、のべ3万人を指導した。㈱Seven Brainz所属

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