移動投票、全域で実験 つくば市長方針 市選管は「時期尚早」 茨城

会見する五十嵐立青つくば市長=同市役所

茨城県つくば市の五十嵐立青市長は19日の定例会見で、10月の市長選と市議選で計画するオンデマンド型移動期日前投票所の実証実験を市内全域で行う考えを明らかにした。一部地域では今年1月に実施しており、市内全域に拡大することで課題の洗い出しを狙うが、市選挙管理委員会は「準備不足で時期尚早」と実施に慎重な姿勢を見せている。

オンデマンド型移動期日前投票は、投票箱を載せた車両が事前予約した有権者の自宅や近隣の集会所などを巡回する投票方法。移動が困難な高齢者や障害者の投票環境を整えるのが目的。市は10月の市長選・市議選での導入を目指している。

市は1月、坂道が多い筑波山麓2地区で実証実験を実施。本番でも一部地区での導入を想定し、本年度予算に車両2台や人件費など約1300万円を計上。公平性確保のため、他地区の高齢者らが期日前投票で使えるタクシー券も準備する計画で、市議会6月定例会に事業費約2000万円を追加する補正予算案を提出した。

市選管から4月に「一部地区での実施は公平性を欠く」との意見が出されたため、市は6月、市内全域を対象とする見直し案を示していた。ただ、選管側は「市全域での実証実験で課題を整理し、万全な体制で本番に臨むべき」と導入には慎重な見方を崩しておらず、一部市議からも撤回を求める声が出ている。

市は、利用者として主に、要介護3と4の有権者を想定。五十嵐市長は会見で「投票する権利を確保し、投票をしたいと思う方の環境を整えることに努力したい」と述べた。

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