パナソニック ハウジングソリューションズ、基材に不燃紙を使用した天井用ルーバー

不燃軽量造作材「エアリライトルーバー」を発売した。基材にTOPPANと共同開発した不燃紙を採用し、一般的なアルミ製ルーバー比で約70%の軽量化を実現した。

パナソニック ハウジングソリューションズは、天井用の造作材として不燃かつ軽量なルーバー「エアリライトルーバー」を発売した。

2024年4月から建設業界にも「改正労働基準法」の適用が開始され、時間外労働に上限規制が設けられた。原則として月45時間、年360時間以上の残業が禁止され、建設現場では、今まで以上に限られた労働時間内で作業をすることが求められている。建設業界では現場施工従事者の高齢化と人手不足が慢性化している。建設業界では業務の効率化が喫緊の課題だ。

一方、天井材には安全性が強く求められる。東日本大震災では建物の天井崩落事故による被害が各地で相次いだ。これを受け国土交通省は、高さ6m以上で面積200㎡以上といった崩落する危険がある天井を「特定天井」に指定している。パナソニック ハウジングソリューションズによれば、非住宅施設の天井のうち3%程度が特定天井であり、市場推定面積は約230万㎡にのぼるという。

こうした背景のなかで開発、発売された「エアリライトルーバー」は、基材にTOPPANと共同開発した無機系の不燃紙を採用し、重量をわずか350g/mに抑えた。一般的なアルミ製のルーバーは約1.2㎏/mであり、約70%の軽量化を実現している。基材が不燃紙のため現場加工が簡単で、在来工法であれば一般的な鋼製下地と組み合わせて施工が可能。これにより、現場施工従事者の負荷軽減効果が期待できる。

また、大幅な軽量化により建築躯体への負荷を軽減することが可能で、万が一巨大地震が発生しても天井崩落による二次災害のリスクを最小限に抑えられる。

さらに、表面シートには同社が20年に発売した不燃天井材「エアリライト」と同等の化粧シートを採用することで、不燃認定を取得している。「エアリライトルーバー」は、こうした軽量さと不燃性能の両面から空間の安全性向上に寄与するというわけだ。

エアリライトルーバーの施工イメージ

壁材・床材などとのトータルコーディネートに対応

そのほか、意匠性にもこだわった。

最近ではオフィスや公共施設、商業施設といった非住宅建築において空間を木質化する事例が増えてきている。「エアリライトルーバー」の色柄は、アッシュやオーク、チェリー、ウォールナットなど木目柄をはじめとする全7柄。ルーバーエッジの形状にも工夫を施し、天然木の意匠を再現した。同社は、床材や不燃壁材にも同系の木目柄をラインアップしており、これらと合わせることで木質部材による空間のトータルコーディネートを可能にした。価格は施工費別で1万6500円。

今後は軽量さを武器に用途拡大を検討しており、「リフォームなどでも使いやすいよう、天井に直付けできるタイプを来年度までに商品化したい」(建築システム事業部 非住宅事業推進部・牛山光弘課長)考えだ。

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