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昨年に続いて今年も「大量発生」していると話題のカメムシ。農林水産省によると、5月末時点で広島県や山口県など30都府県が注意報を出している。「そもそもあの臭いって何なの?」「効果的な対策って?」―。殺虫剤製造フマキラー(広島県廿日市市)の基礎科学研究部、佐々木智基部長に、カメムシにまつわる疑問のあれこれを聞いてみた。
―カメムシはどのようなサイクルで生息しているのでしょうか。
越冬したカメムシが暖かくなると産卵を始めます。葉っぱの裏に産み付けられた卵は1週間ほどでふ化し、5回脱皮を繰り返して約40日で成虫になります。寿命は約1年。通常はスギやヒノキの実「球果」を食べますが、球果を食べ尽くすと果物や野菜の実も食べるので害虫とされています。
―あの臭いはどこから出ているのでしょうか。
カメムシのあの嫌な臭い。気づいたらすでに臭っていることも多いのでは。あの臭いは中脚と後脚の間にある臭腺から出る液体が原因です。外敵から身を守るために発しています。敵に「嫌だな」「食べたくないな」と感じさせるよう、今の成分になったと考えられています。
ただあの臭いには仲間を呼ぶ「集合」の意味もあります。液体の量を調整し、濃ければ「危険」の合図、薄ければ「集合」というように使い分けているんです。
―液体にはどんな成分が入っているのですか。
液体の主成分はヘキサノールと呼ばれるアルコールの一種。その他にも複数の化学化合物が含まれ、カメムシの種類によって配合も異なります。
―カメムシの臭いが手に付いて水で洗っても取れないことはないですか。
それは水に溶けにくい成分が液体に入っているから。指先の皮脂に臭い成分が入り込んでしまうんです。水で洗った後にアルコールなどの有機溶剤で洗えば臭いは取れやすくなります。
―カメムシから出る液体に危険性はないのですか。
ヘキサノールは刺激物で、目にしみたり皮膚が荒れたりします。カメムシから出る量で被害が出ることはあまりないですが、直接触らないに越したことはありません。
―どうして洗濯物によくくっついているのでしょうか。
昼間、洗濯物に付く以前に、夜に部屋から漏れる光に吸い寄せられてベランダへ集まっているんです。変温動物なので夜の間は物陰に隠れていて、暖かくなると動き出します。日が当たる場所を目指して移動した先に洗濯物があるだけなんです。
―対策を教えてください。
まずは集まらないようにすること。家の外灯を消したり、カーテンを遮光のものにしたりすれば、ある程度防げます。次に有効なのは待ち伏せ型の薬剤をあらかじめ玄関や窓に散布しておくことです。カメムシがやって来ても嫌がって去っていくか死んでしまいます。目の前に現れたカメムシ対策には個体を凍らせる商品がお勧め。殺虫成分が入ってないので、洗濯物などにカメムシがついても使いやすいです。
私が自宅でやっている方法は、キャップを外した空のペットボトルに入れる方法です。壁などに付いているカメムシにペットボトルをかぶせて、少し待っていると動いて自然と中に落ちます。密閉しているので臭いもあまりしません。外に捨ててもいいですし、実験用にためることもあります(笑)。